2009-01-01から1年間の記事一覧
トメル(語学学校)の玄関階(日本でいう1階)に、でかく日本語だけが書かれたポスターが貼ってあったので見てみたら、2010年は、なんとトルコにおける日本年である、というようなことが書かれていた。トルコ人の女性と日本人の女性が並んでいて、背景はそれぞ…
チベット語には、竜かドラゴンと訳せる言葉がル(klu)とドゥク('brug)の二つある。しかし両者の違いは明確で、ルが水中にすむ蛇の精霊で病気を起こすこともある存在だとすれば、ドゥクは雷を引き起こす、天空の蛇である。シナ・チベット語族の歴史言語学によ…
前の記事で紹介した、ユランが中国語に由来するという説は、実はトルコでは結構確立しているものらしい。前の記事ではさらっと英語ウェブサイトを調べただけで流してしまったけど、トルコ語ウェブサイトを眺めてみると、あるある! たとえばトルコ語版Wiktio…
Wikipediaについて大きな勘違いをしていたことに気付く。Wikipediaとは、誰でも自由に参加することのできる……だけでなく、いつでも参加することのできるウェブサイトだったのだ。 そもそも私が書いた前のエントリにおける妖怪関係の記事とギリシア神話関係の…
今行っているトメルという語学学校のクラスの半分近くがシリア人である。 が、去年まではそうでもなかったらしい。というか、そもそもシリア人がいなかったところもあったらしい。どういうことかよくわからないのだが、下の翻訳記事を見るかぎり、シリア人が…
いい加減「トルコ」というカテゴリーを作ってみた。竹内和夫の『トルコ語辞典』(イスタンブールに持ってきたのはコピーだけど)の巻末にある「語尾・接尾辞一覧」というのを眺めていた。トルコ語文法というのは誤解を招くような大雑把な言い方でいえばこの「…
久しぶりにtoroiaのアカウントでWikipediaにログインしてみたら、なんとちょうど1年間ずっとログインしていなかったことが分かった。 さらに2ちゃんねるのWikipedia系のスレを覗いてみると、私がWikipediaをやめた原因になった何某が、十数日前にWikipedia…
Wikipediaにジランダという項目がある。タタール語に由来する、カザンの象徴としてのドラゴンらしい。しかし綴りがZilantなのになぜか「ジランダ」と表記されている。しかも英語版を読むと、タタール語ではユランないしジュランと発音し、ロシア語に転写され…
トメル(TÖMER)というのはトルコで一番有名なトルコ語学校です(ほかの言語コースもありますが、トルコ人以外にとってはトルコ語学校でしょう……トルコ語と同時に英語を習っているシリア人もいましたが)。 それで、何度か書いているように私はそこでなぜかトル…
今日、下宿先で夕食を食べていたら、そこの子供の友達が遊びに来ていて、何か言われるたびに立ったりしゃがんだり、という遊びをしていた。ちょうど日本で言う「白旗上げて、赤上げないで、白下げない」とか、そんな感じのである。 よく聞くと、「デュメ」(d…
トメル(トルコ語学学校)の新しいクラスのメンバーが張り出されていたのでほかのクラスも見てみたけど、日本人が何人かいることに気づいた。それにしても自分以外、みな女性なのはいったいどうしたことだろう。トメルについて書いている日本語ブログもだいた…
今度は、グランバザールとイスタンブール大学のあいだにある古書店街に行ってみた。「古書」というのは『イスタンブールに暮らす』という本にあった表現だが、実際に行ってみると多くは新刊書店だった。大学に近いので、いわゆる学術書が多い。ときどきトル…
語学学校近くに学術書籍としてはイスタンブールNo.1という評判の「パンドラ」という書店があったので行ってみて、そこで3冊ほどトルコ(テュルク系、のほうが正確だが)神話について書かれているらしい本を買ってきた。うち一冊は、google書籍であたりをつけて…
ちょこちょこトメル(この国でいちばん有名な語学学校)でトルコ語を勉強してると、ウェブ上のトルコ語情報に微妙に疑問符がつくことが時々ある。もちろん初心者中の初心者レベルなので、あとでやる文法事項(ama gramer sonra!)や例外事例(istisna)なのかもし…
実はしばらく前からイスタンブールにいます。 今後もしばらくはイスタンブールにいます。
「ヘタっぴなアルコール蒸留」さんのところで「竜と龍」についての反応があったので、応答。 たとえば『世界の龍の話』、『龍の起源』、『アジア遊学 特集:ドラゴン・ナーガ・龍』、『龍の文明史』、『図説 龍の歴史大事典』などドラゴンのことを「龍」と表…
『ドラゴンの殺し方』訳出時に参考にした資料(全部ではないですが) 前々から思ってるんですけど、今回私が無断で勝手に出版社にも著者にも許可なく訳したような論文をプロの人が誰か集めて日本語版特別編集『ドラゴン神話論文集』みたいな感じで出版してくれ…
今回訳したのはCalvert Watkins, 1995, How to Kill a Dragon: Aspects of Indo-European Poetics, Oxford: Oxford University Pressより、第5部Some Indo-European Dragons and Dragon-Slayersにある45〜48章(pp.441-468)。カルヴァート・ワトキンス『ドラ…
印欧語族のドラゴン比較神話学と漢字の「竜」論を同時に読み込むことによって何かわかってくることはあるだろうか……?
さて印欧比較神話学におけるドラゴンですが、もっとも最近のものとしてはこんなのを見つけました。Benjamin Slade, 2009, Split serpents and bitter blades: Reconstructing details of the PIE dragon-combat, Studies in the Linguistic Sciences: Illino…
今回はジョン・ショウの論文を翻訳。印欧語学系の雑誌に載っている2006年のもの。ジョン・ショウはあまり有名な学者ではないようだ。 これを引き続き訳してみたのは、ヴィッツェル論文を訳しているときに「こんな比較だと、せっかく堅実に分析されている印欧…
日本人がドラゴンだ竜だ龍だといっているのを尻目に(?)、欧米にはdragon(, drache, draak, drakos, etc.)一語しかないので、そのような面倒な区別をせずにどんどん話が進んでいっています。ちなみに中国でも二つの字体を同時に使うことはないので「龍」(繁体…
Wikipediaで、竜の項目は龍に改名すべきという提案があったのを最近見つけた。それによると、龍は東洋のリュウであり、竜は西洋のドラゴンと東洋の龍の上位概念であり、ドラゴンを龍ということはないのであり、竜と龍は別の項目にすべきであるらしい。ドラゴ…
『アジア遊学 東アジアの死者の行方と葬儀』 あいかわらず佐藤弘夫の論考が面白そう 『日本古典博物事典 動物篇』 これは興味深い!!けど高い 『アジア遊学 アジアの怪奇譚』これは9月刊。四方田犬彦の『怪奇映画天国アジア』は東南アジアのリアルタイムな…
古代バビロニアの古典文学『ギルガメシュ叙事詩』に出てくる怪物フンババ(シュメール語でフワワ)は人気者だったようで、かなり後のルキアノスやマニ教文書の時代までその名前が伝わっています。それゆえいろんなフンババを語源とするのではないか説がありま…
Nordica Mediaevalisによれば、イブン・ファドラーンの『ヴォルガ・ブルガール旅行記』が東洋文庫から9月に出るらしい。すでに日本語訳もあるのだが、それの改訳決定版のようだ。 ファドラーンは北欧神話の史料としても使われるが、ブルガール地方のテュルク…
この記事は適当に思いつくまま書き連ねていっているので、だんだんと書いているほうが混乱してきました。 ところで、以前紹介したように、カバラ思想の原典である『形成の書』(3〜6世紀)には、宇宙全体にかかわる「テリ」なる謎の語が現れています。神は宇宙…
前回の続きになりますが、宇宙を取り囲む巨大なドラゴンという考え方は朧気ながらも中央アジアやトルコのテュルク系諸民族に伝わっていたようです。Journal fo Folklore Researchのウロボロス論文ではイスラーム圏の事例がすっぽり抜け落ちていて残念なとこ…
日食が始まる前にこういうのを書いとけば少しはこのブログを見てくれる人が増えただろうに……と思いつつ、流れに棹差せない形で、あまり知られていない「日食と竜=ドラゴン」について少し書いてみようかと思います。そもそも天文学や占星術では、天球上、食が…
前の「新刊近刊情報」から3ヶ月くらい経っているのでピックアップできないのも多いとは思いますが、いちおう。あ〜、「洋書新刊紹介」なんてのもしてみたいけど、洋書版元のチェックなんてしたことないのだっ!!