2005-06-01から1ヶ月間の記事一覧

ブラジルの抜け首

ブラジルの先住民族カヤポ(ボロロと同系語族)の神話。 夫婦がいた。夫は妻に対して冷酷で、肉と水を与えない。妻は夜中に水を飲もうとして蛙の鳴くところに以降としたが、夫にばれるのを恐れて、身体を二つに切り離した。首だけが空を飛び、髪を翼にして飛ん…

ゲリュオンの殺し方。

抒情詩人ステシコロスの『ゲリュオン譚』はゲリュオンを主役として扱った珍しい作品です。残念なことにほとんど作品は残っておらず、わずかな引用や数十年前に発掘されたパピルスによってその断片が推測されるのみですが、邦訳された丹下和彦さんもおっしゃ…

レヴィ=ストロースの神話論理

私の手元には、今ディディエ・エリボンというフランスのジャーナリストさんがジョルジュ・デュメジルおよびクロード・レヴィストロースと対談した二冊の本がおいてあります。かたほうは『デュメジルとの対話』、かたほうは『遠近の回想』というタイトルになっ…

なぜゲリュオンは胴体が三つあるのか

ヘラクレスは一本の投槍で殺したわけですが。 健部伸明編『幻獣大全』では、この神話は牛獲りの神話があるケルトの三位一体を象徴した神をギリシアの神人が放逐したものと考えてさしつかえないでしょう、としていますが、このような考えは受け入れないほうが…

姑獲鳥の神話論理

『今昔物語集』巻第二十七に「頼光の郎等平季武(たいらのすえたけ)、産女に値(あ)へる語」第四十三というものがあります。出産で死んだ女の妖怪である産女(うぶめ)の最古の事例として知られているもの。 その昔、美濃のどこかの川の渡(わたり)に産女が出没し…

久々に事典を更新

トゥングース諸語の北東系(満州、ウイルタ)を20ちょっと追加。 前回「ン」を追加してから一ヶ月以上更新していなかった、と思うと感慨深いものがある。このブログもここ一ヶ月以上、はっきりいって怠け気味。やや遅く来た五月病? よくわからないけどあまり…

河童伝承大事典

岩田書院という出版社からそのような事典が出るそうです。9500円……高!(書院の裏話ページに、どうしても売れないから高くしちゃうのよ、という言い訳が散見されるのが悲しいところ) 普通の書店じゃそもそもおいてくれないかも知れない。これじゃ中身も確認で…

世界の言葉で龍を何と言うか

辞書でドラゴン。 今日、オンライン辞書をフルに利用して上のようなページを作ってみました。目がものすごい疲れた……。原則的にdragonと入力して出た単語以外は載せてないので、たとえば梵語のahiやnāgaはここに入れてません(snake, serpentなら出るけど)。…

原典訳マハーバーラータを読み

これって、絶対索引必要だよなー、と思った。 木曜洋画劇場「ダウン」を最初から見てしまったことに後悔しつつ……

竜蛇の頭の方向

私がここ4ヶ月ほどずっと考えているのが、竜蛇の「頭の向き」です。いや、事の発端が「頭の向き」と言ったほうがいいのかもしれない。とにかく、蛇は人間とちがって頭をどこに向けることも可能です。これは、実はかなり大きな問題ではないかと思う。 して、…

ヘビ、ヘミの語源?

で、アルタイ語族論によりますと、ヘビ=ヘミはアルタイ祖語で*p'[ó]jamV(カタカナ表記するとしたらプォヤミ?Vにiを入れてみる)になるそうな。意味は「ヘビ」。 日本祖語パイミ/パインピ*pàim(p)V>古代語ペミ>中世フェミ>現代語ヘビ。また名瀬、首里方言…

みづちの語源?

ところで下のエントリは、Wikipediaの満州語ページに水竜 muduri(ムドゥリ)(古代日本語「みつち」または「みづち」(水竜)と何らかの関係が?)とあるのをみて、muduri、dragonと検索して見つかったページに想を得たものです。 この「水竜」ってなんぞや…

ヲロチworotiの語源

日本では、ヲロチの語源は、ヲ+ロ+チに分解するのが普通です。岩波文庫の注によればヲ=峰、ロ=助詞、チ=霊(どっちかというと霊性。ミヅチ、イカヅチなどのチ)。ヲをそのまま「尾」と解釈して尾の霊とするものもあります(イケニヘ譚の発生 ver-1(三浦佑…

竜とドラゴンは敵なのか

ドラゴン全般をかたるときに言われるのが、ドラゴンや竜はもともと善性の存在であり、大自然の象徴だったというものです。でも、私はどうしてもその考えになじめない。なにかおかしい。 ・・・もともと「悪」の存在が人々の世界観の中にあるのではないか? …

八岐大蛇=まとめ

ここで古代から近世にいたる八岐大蛇神話を一つにまとめてみましょう。 スサノヲは高天原で大暴れした上にマタラ神などを引き連れて天津神に反乱を起こし、無数の剣を突き立てて城郭を立てた。しかしタヂカラヲなどの強力な神々によってあっという間に蹴散ら…

熊野権現=八岐大蛇

ヤマタノヲロチ冗談ではなく(冗談だとしたらどういう冗談かわからないし)、熱田神宮の本地垂迹説ではそのような理論が展開されていたみたいです。なぜなんでしょう? さっぱりわかりません。

謎の金属片について

一箇所(数箇所?)、自動車の破片とわかるものがあったそうです。 ところですでに2万件近い破片が見つかっているそうで。 2ちゃんねるN+を見てたら相変わらず「朝鮮人の仕業」とするものが目立ちましたが、ざっと見てみると「立て看板設置用の器具」や「反射…

見過ごしているものを発見すると

全国各地でガードレールにはさまった鉄板が話題になっているんですが、当初は意図的なものかと思われたものの、あまりの数の多さに、その線も消える。 実際に映像を見てみると、なんでこんなことになっているんだろうと思ってしまうのですが、もっとよくよく…

中世の八岐大蛇

ヤマタノヲロチ@「竜とドラゴン」の骨格を書く。あとは古事記と中世の類例と沖縄説話の詳細をつけるだけ。以前紹介した「酒に映った影を見て騙される蛇」です。