怪しいトルコ語の語源説

いい加減「トルコ」というカテゴリーを作ってみた。

竹内和夫の『トルコ語辞典』(イスタンブールに持ってきたのはコピーだけど)の巻末にある「語尾・接尾辞一覧」というのを眺めていた。トルコ語文法というのは誤解を招くような大雑把な言い方でいえばこの「語尾・接尾辞」を覚える、ということになるわけで、まだ知らないのも含め、「本の背表紙を眺める」のと同じような感じで眺めていたわけである。すると次のような気になる記述を見つけた。

+lan 猛獣に見える接尾辞<? 漢語 lung竜: arslanライオン、kaplanトラ、sırtlanハイエナ、yılanヘビ。

太字原文。
「?」がついているものの、怖い動物に対してlanという接尾辞がつくのに、漢語のlungが語源という説があることはあるらしいのだ。すごい。さすが。つまりライオンは何とか竜、トラも何とか竜、ハイエナもなんとか竜、蛇は蛇で何とか竜……。いったいどういう発想の持ち主だと思って検索したら、どうもAhmet Toprakという人が80年代後半に発表した記事に書かれているらしいことが分かった。
http://www.angelfire.com/in/turkey/dil03.html#aslan

  • まずarslan。古期テュルク語でarsは「イタチ」を意味する。そしてテュルクの人々は動物界の王を、毛色が似ているという理由でars-lanつまり「イタチ竜」と名付けた……ッッッ!!
  • 次にkaplan。kapは現代トルコ語で「つかむ」を意味する。となるとテュルクの人々はこの大きな猫を「つかむ竜」と名付けた……ッッッ!!
  • そしてsırtlan。現代トルコ語にsırıt「笑う」という語がある。となるとテュルクの人々は、笑うように鳴くこの動物を「笑う竜」と名付けた……ッッッ!!
  • 最後にyılan。これはそのまま蛇=竜のはずだ。冒頭のyıは、station>istasyonにみられるように発音上の便宜でしかない。だから単なる「い竜」と名付けた……ッッッ!!
  • そういえば英語のlionはギリシア語のleonに由来するらしいが、これってlungに似てないか……ッッッ!!

以上がToprakによる説。正直いってかなり無理がある気がする。