トルコの子供の遊びの中の妖怪

 今日、下宿先で夕食を食べていたら、そこの子供の友達が遊びに来ていて、何か言われるたびに立ったりしゃがんだり、という遊びをしていた。ちょうど日本で言う「白旗上げて、赤上げないで、白下げない」とか、そんな感じのである。
 よく聞くと、「デュメ」(düme?)というとしゃがんで「デヴェ」(deve?)というと立っている。あいにくそのとき手元にあったのは『旅の指さし会話帳 トルコ』だけで、巻末の単語集にそれらしき言葉は載っていない。母親に何をしているのか聞いてみると、デュメではなくてジュメだ、と教えてくれた。しかし意味がわからない。deveはdevam(続ける=その場に居続ける?)と関係あるのか? とか思ったけど違いそう。
 そのとき、昨日のトメルの授業でアフリカのピグミー族の話になって、そういう人たちのことをトルコ語では一般的にジュメ(cüme)という、とか先生が言っていたのを思い出した。さらに先生は子供のころはキノコの下のジュメの物語を読んでいた(?)、と話してくれた。そこで先生はベラルーシの生徒に「あなたの国にこんなのはいる?」と尋ねていたのだが、そのときべラルーシ人が「ダマヴォイがいます」といっていたのを聞き逃さなかった! こんなところで(ごく一部の日本人が知っているロシア語)を知っている名前が出てくるとうれしいもので、授業中だったからささやき程度だがベラルーシ人にトルコ語で「ダマヴォイ、ヴァジャノイ、オヴィニク、全部知ってるよ!」と言ってみた。発音がちゃんと通じていたかどうか……。
というわけでジュメとはトルコ語で「小人」のことだったのだ。となるとデヴェ(deve)は当然「巨人」のことだっ! もちろんゾロアスター教のダエーワdaeva>ペルシア語のデーウdevが語源のトルコ語である。
こんなところで妖怪知識が異文化理解につながるとは思いませんでした。おわり