知らなかったのに知っていることにしてしまっていること

記号論の大家ウンベルト・エーコによるこの洞察は、未確認動物という概念についての手がかりとなるのではないだろうか?マルコ・ポーロはサイをみてそれがユニコーンだと認識した。「認知科学ならば、彼は認知モデルによって決定されていたと言うだろう。彼…

『日本の美術 510 龍』

『日本の美術』最新刊は勝木言一郎「龍」となっています。http://www.shibundo.co.jp/cgi-bin/menu.cgi?ISBN=9784784335107 空想・伝説上の神秘的な霊獣である龍。その雄大で霊妙なイメージは、古来、日本の多くの 芸術家たちに愛され、数々の美術品が今日ま…

竜はいつからドラゴンと訳されるようになったのか 〜わからない〜

タイトルで期待してくる人を避けるために「わからない」とつけてみました。以前も同じようなことを書きましたが、たとえばライプニッツやキルヒャーのような17世紀の知識人たちは、中国語の竜をドラゴン(ここではラテン語のdraco系の言葉すべて)に翻訳してい…

アメリカの博士論文を読む

ときどき、読みたい参考文献情報に、dissertationと書かれているのがあります。 これは「学位論文」のことで、大学の卒業論文の仲間(たとえば修士論文や博士論文)のこと。大学に提出してPh.Dのような称号をもらうための論文で、原則として提出された大学が所…

『聖アントワヌの誘惑』の元ネタ

19世紀フランスの代表的作家ギュスターヴ・フローベールによる『聖アントワヌの誘惑』といえば、砂漠の聖者アントワヌ(アントニウス)が修行中に見る幻想のなかに無数の怪物たちが現れることで有名です(この「業界」では)。日本語訳は渡辺一夫によるものが岩…

検定をつくてみた

2ちゃんねるの某スレで、<伝説の邪悪なドラゴン> 検定!なるものを見つけました。内容自体はけっこう面白いけど、さすがに自分としては物足りず。勝手に竜とドラゴン検定みたいなのを作ってみました。1発目に100点取れる人いるかな〜?

2001年のウェブ世界

2001年時点でのインデックスを利用した2001年度版Googleが、10月末までの限定で利用できるそうです。 http://www.google.com/search2001.htmlうわー昔の「幻想動物の事典」もひっかかってるよ〜w 幻想図書館さんもある……皆さんのホームページはどうですか?

奇談異聞辞典

柴田宵曲の『奇談異聞辞典』がちくま学芸文庫から発売されていましたね〜 これは単独では入手困難な『随筆辞典 奇談異聞編』が文庫化されたもので、その名のごとく江戸時代の随筆から幽霊妖怪譚のほか多くの「奇談」「異聞」を集めたものです。巨大なアンソ…

ホグフィッシュの名前

アムビゼまたはアングロという怪物がアフリカのコンゴにいるそうです。恐ろしくマイナーな幻獣なのでほとんどの方が知らないかと思いますが、キャロル・ローズ『世界の怪物・神獣辞典』や東ゆみこ(他)『世界の「神獣・モンスター」がよくわかる本』などにも…

200709メモ

ほしい本メモラヴァテルの『夜彷徨う幽霊と精霊について』の1572年の英語訳。Lewes Lavater of Ghosts and Spirits Walking by Night 1572, 1929作者: May Yardley,J. Dover Wilson出版社/メーカー: Kessinger Pub発売日: 2003/08/01メディア: ペーパーバッ…

キャロル・ローズの続き

キャロル・ローズの事典は前も書いたとおりマイナス面ばかり目立ちますが、個人的には、その出典を探る過程で何冊かの良書に出会えたということについては感謝しなければなりません。 そのうちのひとつが、一年位前にも紹介したWalter StephensのGiants in T…

イマップ・ウマッソウルサ

ちょっと元ネタをたどったりして見ていたら、いろんなことがわかるもので。私は英語版の原書しか持っていないのでわかりませんが、Imap Umassoursaという項目が『神獣』に存在するはずです。イマップ・ウマッソウルサという感じかな? ちょうど神魔精妖名辞…

無題

それから地道に資料を追加しつつ情報を訂正する作業を続けていったら資料no.が556にまでなりました(pukiwiki版では資料名も連動する予定なのです)。 別に前回500番台になってから本を更に50冊使ったというわけではなくて、資料の番号付けの都合で百科事典の…

不破有理「紅いドラゴンの行方」

不破有理さんが『紅いドラゴンの行方 : ウェールズ伝承およびアーサー王年代記におけるドラゴンの表象』という論文を発表しているのを発見。http://koara.lib.keio.ac.jp/xoonips/modules/xoonips/download.php?file_id=14416 2008年のだから最新の論考とい…

『ツチノコの民俗学』

以前、民俗学的にツチノコを研究した論文を紹介して、その上で批判したことがあります。その論文が所収された『ツチノコの民俗学』が8月に出版されていました。 実は、私が批判したところ、微妙に訂正(?)が入ってます。ただその訂正分を読んでも論旨が混乱す…

裏でこっそり更新している「pukiwiki版幻想動物の事典」、文献番号が500を越えました。 幻想資料系サイトで500以上文献を使っているのはほとんどないのではないでしょうか?いや、それでもまだ膨大な量の資料が未使用のままというのは項目の大半がスカスカな…

やっぱりイスラーム

マイナーなものでもすぐに取り上げられることができるぐらいならいいんですが……アラビアの場合、たとえばアジャーイブ(驚異)文献のうち最も重要なアル=カズウィーニーはドイツ語抄訳があるのみだし、動物誌(キターブ・アル=ハヤワーン)で最も有名なアル=ジャ…

幻想資料系ウェブサイトが次の段階へ進むには

仰々しいタイトルですが。 あれこれ幻想系の本やウェブサイトを見てきて、明らかに欠けているなと思うところに気づいたのでとりまとめ。「幻想資料」と銘打ったけど、いちおう私のサイトが「幻想動物」系なので、それに絞って考えることにする。 率直に言っ…

それから

MySQLですか…… 大規模な神話事典を作成なさっているPandaemoniumのendさんが、Apache+PHP+MySQLを使っているとのこと。 私のほうは、この前試験的に即席で造ったPukiwiki+msearch全文検索で問題ないかな、と思ったのだけど実際に検索してみるとかなり不便だ…

CAD

はてなブックマークのほうでChicago Assyrian Dictionaryが未刊除いて全部オンラインで無料で見られるということを書いたのですが、それぞれpdfのOCRで全文検索もできてしまう。なんと便利な。 http://oi.uchicago.edu/research/pubs/catalog/cad/ シカゴ大…

結局どうなったのか?

結局pukiwikiに全部移行してみたものの、「未作成」ページの多さ&一つの文献への偏り(たとえば『妖怪事典』)が目に付いてうんざりするだけになったので、しばらくは裏で更新作業を進めつつ、表のHTMLはそのままにしておくことにしました。

データベースの変更

今、私が事典サイトを作るのに利用しているWordsworthは、オフラインではとても便利なデータベースソフトなのだが、HTMLに出力するときに問題がある。 問題の一端は、私の事典項目が1万を超えているというところにある。項目ごとにウェブページを作成するこ…

巨鳥ヒルアス

図書館で手に取った『アイルランド文学はどこからきたか』という本に、初期アイルランド文学に「ヒルアス」(Hiruath)という幻鳥が出てくるというのを見て、ぐぐってみたらヒルアスに関する論文が少なくとも2つ書かれていることを知り、それを取り寄せてみた…

ヨーロッパ幻想系の新刊

井村君江さんが集大成として『妖精学大全』なる大著をものしたそうで。東京書籍の紹介文によれば「世界的権威による妖精の集大成。欧州の民間伝承のほか,ケルトやギリシア・ローマ神話,中世文学やシェイクスピア,さらに『ピーター・パン』『ハリー・ポッ…

ティアマトはいつからドラゴンであるとされるようになったか

メソポタミア神話に現れる原初の女神ティアマトがドラゴンではない、ということを本ブログでは何年も前から主張してきました。そもそもティアマトのことを知らない人が世の中の大半を占める中でこのような主張を続けていく理由やモチベーションというのは皆…

ユダヤ教の幻想動物

下のMysterious Creaturesという本を紹介したエントリで、間違って同名の別内容のタイトルの本へのリンクもはってしまっていたことに気づいたんですが、偶然遭遇したこの本もなかなか面白そうな内容のようです。 Nosson Slifkin, 2003, Mysterious Creatures…

マストアイテム追加。

はてなブックマークのほうに登録しておいたのですが、George Eberhartという人のMysterious Creaturesという本のpdfファイルがネット上にあがっていました。たぶん違法だと思います。 この本は未確認動物百科事典で、出版当時(2002年ごろ)2ちゃんねるの未確…

http://plaza.rakuten.co.jp/sephillot/linklist/ >ここは、精霊とか幻獣やらまた神話とは違った場所の・・・・ていうか需要はあるのか・・?orz ないよな……JK

マハーバーラタの神話学

http://www.koubundou.co.jp/books/pages/16050.html

JSTOR

ここ1ヶ月くらい何も書いてなかったんですが、実は、何もしていなかったのではなくて、知人のつてでJSTORにある論文が読めるようになってしまっていて、読む量が逆に多すぎて何を出力すればいいか迷っている状態だったのです。 今までもチマチマ学術雑誌の論…