CAD

はてなブックマークのほうでChicago Assyrian Dictionaryが未刊除いて全部オンラインで無料で見られるということを書いたのですが、それぞれpdfのOCR全文検索もできてしまう。なんと便利な。
http://oi.uchicago.edu/research/pubs/catalog/cad/
シカゴ大学アッシリア語辞典ですけど、アッシリア語といってもバビロニア語も含む広い意味でのアッカド語辞典です。中身は完全に専門家向けですが、たくさんア英対訳がある中にところどころ興味深いのもあったり。といって全文読むわけにはいかないので「demon」で検索してみると、(たとえばエジプト語ヒッタイト語に比べて)多くの悪霊の名前がヒットすることにまず驚く。ラビス、パズズあたりはいいとして、パラシュティヌ、パシャフ、ハルラヤ、ヒムトゥ、リッル、ルトゥ、ミクトゥ、ムシルトゥなどなど、オンライン上も書籍も含めて精霊・幻想動物系資料ではみたこともないような名前が、原文と、その原文の正確な出典も含めて得られてしまうのです。もちろん大半は詳細不明な悪霊たちなのですが……。
それと、いろんな迷信がわかる。今のところ面白いと思ったのはたとえばP巻のpdfで125ページのところ、「アンズーの顔(を見ること)による死」というのがあって、これはもしかして邪眼なのでは? と推測してみたり、MのPart2のpdfで222ページのムッティルという悪霊の項目、「もしムッティルが繰り返し市街で泣き叫べば、よくない兆候となるであろう」とか、バンシー? みたいな。
ちなみにdemonで検索すると「demonが誰それをつかみ」のような定型文が多いです。つーか本当の意味で単なる原文からの抜粋なので、大半はコンテクストがわからず、本当に正確なところは「こういうフレーズとともに使われている」ぐらいしかわからない、というのが残念といえば残念。