やっぱりイスラーム

マイナーなものでもすぐに取り上げられることができるぐらいならいいんですが……

アラビアの場合、たとえばアジャーイブ(驚異)文献のうち最も重要なアル=カズウィーニーはドイツ語抄訳があるのみだし、動物誌(キターブ・アル=ハヤワーン)で最も有名なアル=ジャーヒズはおそらく現代語訳さえないという状況(20世紀初頭にアッ=ダミーリーの動物語彙集は英訳されているみたいですが)。となると、資料を探したり読むのさえ大変だということになります。となると同じイスラーム圏の、ペルシア語やトルコ語文献なんかはますます入手しにくいということになる。
日本語だとなぜかイブン・シャフリヤールの『インドの不思議』(不思議=アジャーイブ)が翻訳されていたりしますけど。
つまり私たちみたいに読める言語が限られている人にとっては結構ハードルが高かったりするわけです。もちろんこれは東南アジアや東ヨーロッパなども同じ状況だとはいえ。なぜ私toroiaがこんなにアラビアなどのイスラーム圏を特別視するかというと、やはりそれはその誕生から現代に至るまで、あらゆる側面において世界的に見て巨大な存在である……にもかかわらず、情報が少ない!という点に尽きます。
だからどうすればいいのか、というと、地道にアジャーイブやハヤワーン文献を扱っている著作や論文(もちろん現代語で書かれた)を探しては部分訳などを読んでみるという方法が、「言語を習得する」を除いて確実で無難な方法ではないかと思われます。たとえばリチャード・エッティングハウゼン、現代ならアナ・コンタディーニとか。日本人なら小林一枝ヤマンラール水野美奈子ぐらいか。小林はカズウィーニーを使った論文をいくつか書いているはずです。


そういえば11月にあるオリエント学会でカズウィーニーの挿絵についての発表があるみたいなんです。「カズウィーニー」で検索してみて見つけたのですが。暇だったら行ってみるかも知れません……。