『ツチノコの民俗学』

以前、民俗学的にツチノコを研究した論文を紹介して、その上で批判したことがあります。その論文が所収された『ツチノコ民俗学』が8月に出版されていました。
実は、私が批判したところ、微妙に訂正(?)が入ってます。ただその訂正分を読んでも論旨が混乱するだけ、あるいはさらっとなかったことにするだけのもので、結局本質的には何も変わっていませんでした。残念。

ここ数年、最近の妖怪学ブームに乗って、「俊英」とも呼べる若手による妖怪研究がいくつか公刊されています。とりあえず『ツチノコ民俗学』も入れてあげるとして、あとは『江戸の妖怪革命』かな。ただ、前者もそうですが後者のほうも「今どき無批判にフーコーっすか」レベルの内容なのが非常に残念なところ。意欲はあるけど論理性がイマイチ、というところでしょうか。その点(若手というか中堅だけど)京極夏彦など非常に頭のよい書き方をしていて(それでも見落としているところはある)、今後の書き手の参考になるはずです。