2008-01-01から1年間の記事一覧

ヨーロッパ幻想系の新刊

井村君江さんが集大成として『妖精学大全』なる大著をものしたそうで。東京書籍の紹介文によれば「世界的権威による妖精の集大成。欧州の民間伝承のほか,ケルトやギリシア・ローマ神話,中世文学やシェイクスピア,さらに『ピーター・パン』『ハリー・ポッ…

ティアマトはいつからドラゴンであるとされるようになったか

メソポタミア神話に現れる原初の女神ティアマトがドラゴンではない、ということを本ブログでは何年も前から主張してきました。そもそもティアマトのことを知らない人が世の中の大半を占める中でこのような主張を続けていく理由やモチベーションというのは皆…

ユダヤ教の幻想動物

下のMysterious Creaturesという本を紹介したエントリで、間違って同名の別内容のタイトルの本へのリンクもはってしまっていたことに気づいたんですが、偶然遭遇したこの本もなかなか面白そうな内容のようです。 Nosson Slifkin, 2003, Mysterious Creatures…

マストアイテム追加。

はてなブックマークのほうに登録しておいたのですが、George Eberhartという人のMysterious Creaturesという本のpdfファイルがネット上にあがっていました。たぶん違法だと思います。 この本は未確認動物百科事典で、出版当時(2002年ごろ)2ちゃんねるの未確…

http://plaza.rakuten.co.jp/sephillot/linklist/ >ここは、精霊とか幻獣やらまた神話とは違った場所の・・・・ていうか需要はあるのか・・?orz ないよな……JK

マハーバーラタの神話学

http://www.koubundou.co.jp/books/pages/16050.html

JSTOR

ここ1ヶ月くらい何も書いてなかったんですが、実は、何もしていなかったのではなくて、知人のつてでJSTORにある論文が読めるようになってしまっていて、読む量が逆に多すぎて何を出力すればいいか迷っている状態だったのです。 今までもチマチマ学術雑誌の論…

チベット密教の入門書

お久しぶりです。 1ヶ月くらい前からようやく世界的な緊急問題として認知され始めたチベット。ちくま学芸文庫の5月の新刊にツルティム・ケサン『チベット密教』が並んでいました。タイムリー……にしては少し遅すぎか。「文庫版へのあとがき」に何らかの言及は…

ひっこした〜

ここ1週間ほどはずっと準備に追われて大変でした。 これから1週間ほどはずっと開封作業と整理清掃に追われることでしょう・・・w

ボッカッチョ『異教の神々の系譜』英語訳

以前話題にしたボッカチオ『異教の神々の系譜』、ラテン語英語対訳版がI Tatti Renaissance Libraryで出版される予定だというのを発見。 http://www.hup.harvard.edu/itatti/forthcoming.html GIOVANNI BOCCACCIO Genealogy of the Pagan Gods Edited by Jon…

『ロマネスクの宇宙』

ずいぶん前に私が紹介して的外れな批判をしたところ、ご本人から指摘のコメント書き込みがあり、冷汗三斗となったことのある学会雑誌所収の論文*1が、(たぶん)出版されるようです。金沢百枝『ロマネスクの宇宙 ジローナの《天地創造の刺繍布》を読む』(東京…

質問の、、、

分析哲学で度々俎上に載せられる有名な文がある。それは 現在のフランス国王は禿である というもの。はじまりは、この文は真か偽か、という問題。禿であるかどうかは現在のフランス国王の肖像を見ればわかるが、現在フランス国王はいない。となると、……どう…

ダストン&パーク『驚異と自然の秩序 1150-1750年』

以前、高山宏が紹介している、ということを紹介したLorraine Daston & Katharine Park, Wonders and the Order of Nature 1150-1750を今、つまみ読みしている(序章だけは全部読んだ……)。なにぶんデカイ本です。これまで買った洋書のなかでは辞典類や画集を除…

フンババとベスとメドゥーサ

前記のとおり色んな資料が手に取れる状態にはないので、ウェブ検索でお茶を濁してタイトルの話題に水をさしてみることにする。ぐぐっていたらこんなページを見つけた。 http://www.akademiai.com/content/1p10467702610461/ Antik Tanulmanyokという雑誌の20…

Wikipedia妖怪リンクの出典探し

あ、それと、今こんなことやっとります。 ノート:日本の妖怪一覧 二、三日でけっこうな量が見つかりましたが、何かまだわからないのもいくつか。ご存知の方いらっしゃいましたらノートのほうに書き込んでくだされば。 それにしてもこの出典探し、上の妖怪馬…

『怪 0024』のヌリカベ記事

以前、朝日新聞に紹介されて話題になった江戸時代(19世紀初頭)のヌリカベの絵画。なぜ今頃話題になったかというと、アメリカのブリガムヤング大学に所蔵されていたものを川崎市民ミュージアムの湯本豪一さんが(デジタル・データを?)見てヌリカベ(ぬ里化遍)…

『図説幻獣辞典』

そういえば、『図説幻獣辞典』というのが某書店のTruth in Fantasyの棚に並んでいた。出版社違うんですけど……。 中身は比較的軽い解説と金子一馬っぽいなイラスト、という体裁で相変わらずクトゥルー神話などの創作物も織り交ぜている感じだった。どうせ内容…

ひっこし

つい先日、リアル生活における2年半越しの大きな課題をようやく乗り越えて、幻想動物の事典のほうに力を入れる余力が出てきた〜と思っていたところ、よく考えてみれば3月に引越しがあることを思い出す。そのため荷造りせねばならず、最優先で段ボール箱行き…

辻惟雄がハラノムシを……

今日の朝日新聞夕刊に、『奇想の系譜』の辻惟雄が「これは辻さん向きです」といわれてハラノムシの本(「針聞書」が掲載されている)を紹介された、という記事が載っていた。辻さんは案の定この本をいたく気に入ったらしい。「奇想」にはいろいろな種類がある…

新刊情報 ゾロアスター教

講談社ページによると、以下の書籍が出版される模様。 鎧淳(訳)『バガヴァッド・ギーター』 講談社学術文庫 畑井弘『物部氏の伝承』 講談社学術文庫 青木健『ゾロアスター教』 講談社選書メチエ 注目は青木健さんの本。メチエなので一般向けなのでしょうが、…

大日如来太陽の女神

伝運慶作の大日如来像がアメリカでオークションに出されるそうですが、その英文記事。 A wooden statue of a seated Dainichi Nyorai sun goddess http://www.yomiuri.co.jp/dy/world/20080211TDY01303.htm 女神ですと。なんという……。アマテラスの本地が大…

ヘカテの別称、検索の様式

あるひとつの情報を求めて複数の人が競合するというのはときどきある。当事者にしてみると、早く正確な情報を得られたほうが価値があるというものだが、「他の人がどのように情報を得ようとしたか」を知ることができる機会があればもっと興味深いことにもな…

西洋中世綺譚集成

シリーズが予告されていたのに最初の1、2冊しか出ずに終わってしまっているというのがよくある。岩波文庫で半世紀以上続刊が出ていないのもある(私の手元にあるのでいうと、『ドイツ民譚集』1948,國松孝二訳は5巻の予定が第1巻だけ出て、そのまま。微妙にマ…

雑事

Wikipediaのワリャリョ・カルウィンチョという項目が更新されていたのを見つけ(ウォッチリストに入れていたので)、みてみるとオンラインの神話事典系のページが「参考文献」として2つ追加されていた。それってどうなの〜と思ったが、ひとつは神魔精妖名辞典…

妖怪事典化するWikipedia

加筆量 ここ数週間ほど、逃亡者さんによるWikipedia日本語版の妖怪項目への加筆がすごい。多くは村上健司の事典などからの孫引きであるものの、この質と量、このままいけば確実にWikipediaが世界最大のオンライン日本妖怪事典になるのは目に見えている。ただ…

水木しげるの「龍馬」

このページで、水木しげるの「妖鬼化」(妖怪原画集)に掲載されている大量の妖怪画を見られるのを知った。すげえなあ〜 ところであれこれページを回っていたら「龍馬」というのを見つけた。手元にある『妖怪世界遺産』(同じく、CD-ROM版の妖怪画集)をみてみる…

江戸時代のダラーカ

タイモン・スクリーチの『大江戸異人往来』というのが新刊の棚にあった。スクリーチの本はどれも面白そうなのだが、江戸の都市文化に妙に疎く、それに最近の「江戸ブーム」とか「江戸検定」とかに天邪鬼に反応してしまう身としては、あまり読もうという気に…

とんちんかんな翻訳は……

私がWikipediaで活動を始めてから2、3年くらい経ってると思うが、どうみても日本語になっていない翻訳記事*1を作る人というのは、おそらく限られている。私のフィールドは神話伝説というごく小さなものなのだけど、それでもここ2年間くらいに3人ほどそうい…

ツチノコの本が出るらしい

以前、認識的なミスをたたいた覚えがある伊藤龍平がツチノコの本を出すようです。 青弓社の近刊ページより, ツチノコの民俗学――妖怪から未確認生物へ 伊藤龍平 四六判 予価2,000円+税 2008年3月中旬書店発売予定 江戸期において「妖怪」として畏怖されてい…

西洋竜と東洋龍

少し前に知ったのだが西洋のドラゴンは西洋竜と書き、東洋の竜は東洋龍と書き分ける作法があるらしい(……いや、こんなことを、こういう内容のブログをやっているくせに知らなかったのは「恥」だと思うのですけど)。竜と龍は字体の違いなので意味内容に違い…