水木しげるの「龍馬」

このページで、水木しげるの「妖鬼化」(妖怪原画集)に掲載されている大量の妖怪画を見られるのを知った。すげえなあ〜
ところであれこれページを回っていたら「龍馬」というのを見つけた。手元にある『妖怪世界遺産』(同じく、CD-ROM版の妖怪画集)をみてみると朝鮮の伝説に現れる幻獣らしい。龍馬は洪水を起こして暴れていた。そこで白将軍という英雄が龍馬と戦い、これを取り押さえようとした。しかし怪物は天に昇り、将軍もまた引きずられていった。今でも天上では争いが続いており、日照があると将軍が龍馬に乗って雨を降らせてくれるという。
リンク先に「頭だけ」の画像がトリミングされてるが、中国系の竜にしてもバランスが悪く奇妙だ。角も一本、上唇の曲がり具合……どうもこれはペルシア系ドラゴンのようだ。
水木しげるの妖怪画って思いがけないところから元ネタを持ってくることが多くて(ここ数年話題なのは、バックベアードの元ネタが現代アーティストの作品だということ)、妖怪ファン(水木ファン)を困らせ狂喜させることが多いのだが、こうも微妙にずれている元ネタを持ってきているとは、気づかなかった。さすがというかなんというか。ちなみに原画は(これだ!という特定はまだできていないけど)確実に「水から上がってくるドラゴン」ではない。そのあたりの「情景との重ね合わせ」の妙もまた見事。
個人的なことで言うと、龍馬は『世界妖怪事典』に載っていたから知っていたはずなのだけど、それからペルシア系ドラゴンの絵画を知って今再び龍馬のイラストを見るまで思い出すことはなかった。改めて水木しげるの妖怪画を眺めてみる必要がありそう。

水木しげるの世界妖怪事典

水木しげるの世界妖怪事典