新刊情報 ゾロアスター教

講談社ページによると、以下の書籍が出版される模様。

注目は青木健さんの本。メチエなので一般向けなのでしょうが、さりげなく、今日本で最も活動的なゾロアスター教研究者です。東京大学リポジトリでは、青木さんの編纂された「故・伊藤義教氏転写&翻訳 : ゾロアスター教書籍パフラヴィー語文献『デーンカルド』第3巻訳注」を読むことができますし、CiNiiでも「イスラーム文献が伝える多様なゾロアスター教像」(2007)を読むことができます。1年前には地味目な大著『ゾロアスター教の興亡』を上梓しています。さすがに海外でどれほど発表しているかまでは追っていませんが、とにかく地道に、しかし確実に実証的に、そして斬新な視点からゾロアスター教を研究しているのは傍目にもよくわかります(それにしても、この人に限らないけど、こういう分野の研究者っていったい何ヶ国語が読めるんだろう!)。この人を引っ張り出してきたメチエの編集の人もさすがだと思うけど。いやいやメチエには似たような分野で筒井賢治『グノーシス』という良質な先例があるから、想定の範囲内だったかもしれない。
まだ出版されていませんが、これは確実に「買い」でしょう。現状、日本語のゾロアスター教文献は簡単な紹介本かやや偏向がかった本が多いですから……。

ゾロアスター教の興亡―サーサーン朝ペルシアからムガル帝国へ

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