ツチノコの本が出るらしい

以前、認識的なミスをたたいた覚えがある伊藤龍平がツチノコの本を出すようです。
青弓社の近刊ページより,

ツチノコ民俗学――妖怪から未確認生物へ
伊藤龍平
四六判 予価2,000円+税
2008年3月中旬書店発売予定

江戸期において「妖怪」として畏怖されていたツチノコは、1970年代に「幻のヘビ」として日本中を騒がし、「未確認動物」になって『ドラえもん』や『釣りキチ三平』で描かれて、いまも人々を魅了しつづけている。民間伝承では恐怖の存在だったツチノコが、マンガや観光資源となり、海外で受容されるにいたる足跡を辿る文化史。

2000円なら良心的、というかたぶん方々に発表してきた論文をまとめて後書きを付したものでしょう。
前に私が伊藤を取り上げたときは妖怪学におけるキャラクター論が勃興する以前のものだったので(この展開を言語哲学でいう「言語論的転回」linguistic turnとか地理学における「空間論的転回」spacial turnとか美術史における「画像的転回」iconic turnとかに雁行して「キャラクター論的転回」と言ってしまっても悪くないと思う)、ちょっと伊藤のほうの部が悪いのは当然かな、と思っていたのですが、これは今年出版だから、存分に検討する価値はありそうな気がします。
ところで

江戸期において「妖怪」として畏怖されていたツチノコ

これは単なる宣伝文句なのかもしれませんが香川雅信『江戸の妖怪革命』の論じるところとずれているような(香川の本も近く取り上げる予定)。