2007-01-01から1年間の記事一覧

「アブラハムの宗教」

Wikipedia日本語版には「アブラハムの宗教」なる謎の言葉があるが、これはいったい何なのだろうか。便宜上ユダヤ教徒キリスト教とイスラームをまとめるための概念だとは理解できるが、そんなに一般的な言葉なのかぁ?たとえばGeNiiで「アブラハムの宗教」と…

インドの体内の虫 Part 2

『スシュルタ・サンヒター』とならぶインド医学二大古典の『チャラカ・サンヒター』は「科学の名著」というシリーズに第1部の日本語訳があるから調べやすかった。第19章「八種の腹の病気(などについての)章」*1 「二〇種の寄生虫」のうち、シラミとダニの二…

Wikipediaの某項目

web

『霜の巨人』の差分に巨人名イジとアウルニルのつづり判明とあるけど、土日、うちのページにGoogleから「イジ アウルニル」で来た人がいるのは、たぶん無関係ではないだろうな。

インドの体内の虫

まだ蟲蟲続けます。『スシュルタ・サンヒター』というインドの医学書(〜6世紀ごろ?)の補遺第54章は「内臓寄生虫病治療法」krimirogapratiṣedha(クリミローガプラティシェーダ)と名づけられていて、体内に生ずる寄生虫が20種いると述べています。*1細かいこ…

孫の続き

ネット上のどこにもなかったので書いてみる子 孫 曾孫 玄孫 来孫 昆孫 仍孫 雲孫(ここまではよく見る) 胍孫 系孫 紀孫 遠孫 裔孫 胤孫 種孫 仁孫 素孫ソースは浅野和三郎『大正維新の真相』第4章だが、ヂヂババの心は神心にも同様のことが書かれているのを今…

体内のムシの続き

イベントレポ「第52回日本印度学仏教学会」報告というページ(2001年7月 5日)に 『正法念処経』における rlung について 第5番目の発表は東洋大学東洋学研究所の石川美恵さんの「『正法念処経』における rlung について」という発表です。 (中略) rlung ルン…

「竜とドラゴン」復活

結局インターフェイスはpukiwikiに落ち着きました。ユニコードが使える・注釈が使える・認証つきというのが理由です。アドレスはhttp://www.toroia.info/dragon/です。ただ、オフラインに保存していないという大失態を犯してしまっていたため、前回の謎の全…

体内のムシ

最近、『戦国時代のハラノムシ』という本を見つけて一読、衝撃を受け即座に購入し、さらに末尾の参考文献一覧にあった『ハラノムシ、笑う』を帰りの電車内で携帯からAmazon.co.jpにアクセスして買ってしまった。 なんでこんな面白い妖怪本が出ていたのに5ヶ…

日本ではない日本 Boundary Transgressions

何年も前から妖怪系雑誌『KWAI』に連載がある人物のウェブサイトに、もう5年ほど前出入りしていたことがあった。その人は日本の妖怪・怪異譚の収集分類をしており、私も少しだけ協力しようと思った。その収集は徹底的なもので、いまだに私は彼の1/100程度の…

ラミア<ラマシュトゥ

その後調べてみると、ラミアラマシュトゥ説はヴァルター・ブルケルトにさかのぼるようだ。Walter Burkert. Orientalisierende Epoche in der greichischen Religion und Luteratur. 1984. ヴァルター・ブルケルト『ギリシア宗教・文学におけるオリエント化の…

ラミア、ギリシアの民間伝承

なんか、追記したのがばれてしまったみたいなので。ラミアについて資料が豊富なのは蛇女の伝説―「白蛇伝」を追って東へ西へ (平凡社新書)作者: 南條竹則出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2000/10/01メディア: 新書購入: 2人 クリック: 6回この商品を含むブロ…

ヌグ発見

もしかして初めての「オセアニア」カテゴリ? とかいうのはおいといて、以前のエントリで紹介した「出典不明の水木妖怪」のうちヌグについて、出典ではないけど情報を発見しますた。具体的に言うと、単純にスペルをnuguと推測し、ワニに似ているならcrocodil…

リリン、リリム

ヱヴァンゲリヲンじゃないですが、リリン(lilin)がリリス*1(Lilith)の娘たちだという伝承があちこちで紹介されている。でも出典を見たことがない。 そもそもリリンはリリスの複数形男性名詞。リリオト(liliot)が複数形女性名詞になるわけで、少なくともヘブ…

ルシファーの翼の数

図説 天使百科事典作者: ローズマリ・エレングィリー,Rosemary Ellen Guiley,大出健出版社/メーカー: 原書房発売日: 2006/01メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見るに「ルシファーの翼は12枚」の記述発見。ソース不明。

ルシファーの俗説について

もしサタンとルキフェルを同一視して、サタンについての解説をルキフェルにも断わりなく適用しているとするならば。あるいはサタンの堕天前をルキフェルのことだとするならば: 12枚の翼がある 出典:グスタフ・デイヴィッドスン『天使辞典』の「サタン」。 …

ひさしぶりに新刊情報

もしかして最後に新刊書籍紹介をしたのは6月17日だったりする? もう3ヶ月も経っていたりする? と気づき、今更ながらそれ以降の有用と思われる新刊を紹介したいと思います。それにしても、すでに『ブリタニア列王史』なんかも出版されてるんですよねえ……。…

悪魔を考える

ルシファー―中世の悪魔作者: ジェフリ・バートンラッセル,野村美紀子出版社/メーカー: 教文館発売日: 2000メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 3回この商品を含むブログ (2件) を見る関係があるかな、と思ってラッセルの『ルシファー』を読んでみた。……これ…

妖怪を世界で語る

それともう一つ。『世界の妖怪大百科』には、大地域ごとに簡単な解説がつけられている。アフリカ、ヨーロッパ、アジア、オセアニアなどなど。分量は少ないが、けっこう的を得ているのも多く、面白い。オセアニアについては祖先崇拝や通過儀礼、冥界との関連…

水木しげる『世界の妖怪大百科』

最近、水木しげるの『世界の妖怪大百科』というのを手に入れた(普通に店頭に並んでる)。1978年の『妖怪《世界編》入門』の復刻版だ。水木しげる 世界の妖怪大百科作者: 水木しげる出版社/メーカー: 小学館発売日: 2005/11/01メディア: 単行本購入: 3人 クリ…

ルシファーの俗説

Wikipediaのルシファー、最新の更新履歴に「俗説」としていくつかの記述が追加されていた。 俗説 ルシファーとミカエルは双子の兄弟である。 ルシフェルが堕天した際、『エル』の称号を失って名前が「ルシファー」になった。 ルシファーには12枚の翼がある。…

地域・文化の分類。とりあえず自前のリスト

下のエントリに関連して、うちの事典の「地域・文化」欄に使われている名称をJIS順に並べてみた。ネタは省く。「・」で区切った下位区分も、重複判断のとき以外無用なものは省く。 それにしても整理されていないなあ……ソートの便宜からいうと、きれいに階層…

「未開」地域の神話伝説情報の少なさ

だいたいどこの神話事典を見ても、その面積の広さや言語・民族の多様さに比して南北アメリカ、サハラ以南のアフリカ、そしてなんといってもオセアニアについての資料が少ないことは肯定せざるを得ない。 もちろん言語上の問題もあろうが、そもそも根本的な原…

『ウォーター・ホース』

台風の中ヱヴァンゲリヲン序を見にいったら、予告編で『ウォーター・ホース』という映画が宣伝されていました。 映画『ウォーター・ホース』は、不朽の伝説に基づいた、抒情詩的大作である。 ウォーター・ホースといえばケルピーとかアハイシュケとかオヒシ…

地域名を見出しリストにつける

私がウェブ上に作成している幻想動物の事典、名前見出しリストのところ、これまではどう考えても無機的で「読める事典」の見出しにはなっていないなと思い、あれこれない知恵を絞った末、地域名を表示させるようにしてみた。するとどうだろう!なんとなくそ…

人類以前の、邪悪な存在……

以前『西洋思想大事典』の「宇宙旅行」をコピーしたとき、1ページ目の左側も一緒にうつっていた(見開きだから)。「宇宙の没落」という項目だったらしく、宇宙がどんどんと衰退していっている、堕落していっているという思想をまとめたものらしかった。残念な…

黄金を掘り出す蟻

7月1日に予告しておいた「ここの部分にもう一つ面白い(たぶん海外を含めて幻想動物界隈ではまだ紹介されていない)有名な幻想動物のことが書かれていたので」はこのことです。その次に触れた資料そのものは手元にあるのですが、なにせ冶金学の雑誌論文なもの…

プロコンネソスのアリステアス

この書評(またまたJSTOR)を見る限り、このAristeas of Proconnesus by J. D. P. Boltonを読んだほうが早そうです。ロンギヌスとツェツェスが引用している断片が紹介されているとか。

『アリマスペイア』についての記事

ずっと前に、グリフィン(グリュプス)がリーパイオスRhipaios山脈に棲んでいるということを高津春繁が書いていることを知り出典を探したものの、わからないままだった。いや高津の出典は『ギリシア・ローマ神話辞典』の116ページなんだけどw、リーパイオスに…

ヘルメス・トリスメギストス

ひさしぶりに神話系サイト無限∞空間の質問、長文用掲示板を覗いたら、ヘルメス・トリスメギストスの話題が。しかもスレストされてる。もう少し定期的にチェックしておけばよかったと思った(いくつか補足したかったから……w)。なのでここで少し。まず・・・ヘ…

イスラームにおけるギリシア神話

前々から知りたかったことです。いったいアラビアに残されたヘレニズムの遺産はどうなったんだ??? でも……こういうタイトルをつけておいてなんですが、ジョン・ウォルブリッジによると、イスラーム化後のアラブ世界では全然ギリシア神話は知られていなかっ…