水木しげる『世界の妖怪大百科』

最近、水木しげるの『世界の妖怪大百科』というのを手に入れた(普通に店頭に並んでる)。1978年の『妖怪《世界編》入門』の復刻版だ。

水木しげる 世界の妖怪大百科

水木しげる 世界の妖怪大百科

私自身この手のものにはまるきっかけとなったのが水木しげるであり、世界妖怪に興味を持ち始めたのがこの本だったから(正確にいうと本書の内容を取り入れた『妖怪クイズ百科じてん』とかいう本だった)、思い出の一冊なのである。とはいっても図書館で借りて読んだだけで、いまだに原本は手に入れてない(古書を探せば結構見つかるが)。《世界編》を最後に読んだのはもう7,8年かもっと前になるから、久々に読んで改めて水木しげるの妖怪眼に感じ入り、懐かしい思い出に勝手にひたっていた。

それにしても、今でさえ世界妖怪本は欧米中心だというのに、本書はオセアニアアメリカ、アフリカの妖怪まで満遍なく紹介されている。「ヨーロッパの妖怪」は全体で言うと181ページ分のうちそれでも80ページ近くあるけど、類書のほとんどがヨーロッパ妖怪に偏っているのに比べるとずっと「平等」である。というかいわゆる妖精や悪魔、怪物の類よりももっと土俗的というか、

出典が謎

な妖怪が多いのだ。これが本書の大きな魅力であり、そして難点でもある。

なにせ他の妖怪本やファンタジー本に載ってないクリーチャーが結構多い。そして子供向けだから出典も英文表記も欠けている。
出典がわからないのを不審に思い、自力で相当数の「出典」を探し当て、さらに情報を募集したウェブサイトがそもそも今のウェブサイト「幻想動物の事典」の前身だったというのを知る人は、たぶん、もはやいないw。モンスターやフェアリーなどという世界妖怪などというマイナー分野な上に、地味なページだったからね。でもそこでの出会いは今でも私の宝物。

と感傷に浸っていても面白くもなんともないだろうから、今回は本書に載っているのをリストアップして、わかっているかぎりの出典を書いてみることにする(出典情報ページも、なんか、復活させたくなってきたし)。わからないものはわからないと書き、情報収集を再び行なってみることにする。

出典がわからない妖怪についてのヒント。おそらくは、1978年以前の日本語の出版物に掲載されている。



いざやってみると、予想外に出典情報が複雑だったり誤記が多かったりイラストが謎だったり地域がおかしかったりすることに気づいたので、今回はリストアップは後回しにすることにする。とりあえず、本当に謎っぽいものをいくつかリストアップ。
ピクラス(リトアニア
ツァジグララル(アメリカ)
油絵妖怪(ヨーロッパ)
ジャイアンツ(バルカン半島
ピーテル(旧ソ連
ラウヒェン(ドイツ)
デボラー(古代エジプト
アシャンティ中央アフリカ・ウバンギ)
魚霊(アメリカ・イヌイット
ファニカ(ペルー)
キンブーヤン(ニューギニア
ヌグ(ニューギニア