少し新刊情報とか

大型書店だと、岩波文庫の2月重版分の『抱朴子』が置かれているかもしれません。今ではたぶん原文がネットで見れるし、岩波版の抱朴子は書き下しだけなので学術的には物足りないかもしれませんが、平凡社版の抱朴子が抄訳、とくに私にとっていちばん肝心な、妖怪情報が多く載っている登渉篇が抄訳になっているので、とりあえずゲットしておきました。
変な護符の図もたくさんあります。

抱朴子 (岩波文庫)

抱朴子 (岩波文庫)

ドイツ語関係の専門書を多く出している同学社から『グリム童話・伝説・神話・文法小辞典』というのも出ていました。本当に「小」辞典で、正直言って誰をターゲットにして書かれたものなのかよーくわからないのですが、強いて言うならばグリム兄弟の文献をドイツ語で読むときに出くわす言語学や神話学などの専門用語を引くための辞典、といったところでしょうか。

グリム童話・伝説・神話・文法小辞典 (同学社小辞典シリーズ)

グリム童話・伝説・神話・文法小辞典 (同学社小辞典シリーズ)

ところで、前のエントリで「亡霊論的転回」を紹介してから色々見てみたのだけど、「亡霊論的転回」はデリダの『マルクスの亡霊たち』以降、とくに前世紀終わりからあちこちで盛んに特集されているみたいです。
たとえばSpace and Culture: International Journal of Social Spacesの2001年のやつ
Spatial Hauntings特集とある。Spatial Hauntings――空間の憑依、とか訳せるのでしょうか?
このページの冒頭の段落を訳出してみます。

「取り憑かれた」空間は、差異を日常の経験や空間の実践へと繋ぎあわせていく。私たちは、過去・現在・未来の共在と未決定性によって形成されている諸空間――敷居、浮動する空間的瞬間、辺境空間、境界の場所――を理解しようと試みているのである。

載っている論文のタイトルのいくつか。
ファンタスマゴリア/ファンタスム-アゴラ:物質性、空間性と幽霊 ケヴィン・ヘザーリントン
廃墟の憑依:物質と無形性 ティム・エデンサー
幽霊的過去、亡霊的未来 マルコーム・マイルズ
などなど。