最近ヘブライ語を習っているもので

 日本語になってるヘブライ語や聖書の単語って英語・ラテン語経由のものが多いらしく、ヘブライ語本来の発音とは少し違うところがあるようです。幻想動物の事典に関連がありそうな単語を文法書からピックアップしてみました。けっこう違ったりそのままだったりするもんですねー。

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אָדָם
アダム ˀāḏām
聖書の最初の人間、アダムです。
まず語頭にある ˀ は声門無声閉鎖音などというもので、本には「アッ!と叫んだ時、前後に現われる」とあります。意味不明。日本語には確実にない音だし、現代ヘブライ語でも無視されているということなのでここでは完全に無視させていただきます。このblogにおける言語表記の目標は「とりあえずカタカナで」ということなので。ただ現代アラビア語では明確に区別されているとのこと。
aの上についてる線は伝統的には長母音を意味するのだそうですが、本によれば「母音の長短の区別は語源に遡らなければ分からない」とあります。そうですか……。とりあえず長母音として表記してみます。
dに下線があるやつは英語のthatのthと同じだそうです。なのでアーザームとなるんですか?

אֵל
エル ˀēl
「神」。エール。

אֱלֹהִים
エロヒム ˀĕlōhîm
エルの複数形。「神々」と訳されて「聖書は多神教だった」とか言われますが、1つの神を複数形で表すことはアッカドでも普通に行われていたので一概にそうとは言えません。ֱは複合シュヴァという母音記号をラテンアルファベットで表記したもの。短母音より短いらしい。
エローヒーム?

בַּעַל
バアル baˁal
ˁは咽頭有声摩擦音。「嘔吐する際の咽喉の状態に似ている」らしい。現代語では無音、ここでも声門無声閉鎖音と同じ扱いとします。どっちにしても、バールじゃなくてバ・アル。異教の神でもあるけど「主人」も意味する

הֶבֶל
アベル heḇel
カインとアベルアベルです。bに下線があるのはヴァ行なのでヘヴェル?

חַוָּה
エヴァ ḥawwāh
アダムの奥さんです。hの下点は日本語だとハ行でいいと思う。wはそのままワ行。語末hは発音しないので、ハッワー。
ちなみに現代語だとハッヴァになるのかな?

יוֹצֵר
創造主 yôṣēr
sの下点はsの強調音だとのこと。「舌をのどの奥に引くようにし、咽頭部を緊張させて発音」するとか。サ行?
ヨーセール。

יַעֲקֹב
ヤコブ yaˁăqōḇ
英語でジェイコブスとなるやつです。ヤアコーヴ。

יִצְחָק
イサク yiṣḥāq
息子イサク。イスハーク。現代風だとsに下点はツァ行になるのでイツハク。そういえばイツハク・ラビンなんて人がいましたね。

מַלְאָךְ
天使 malˀāḵ
kの下線はバッハのハと同じなので、マルアーフとなります。日本語だと大抵の場合マラクと表記されるけど。

מֹשֶׁה
モーセ Mōšeh
十戒の人。モーシェ。

נָחָשׁ
蛇 nāḥāš
エヴァ・・・ハッワーを誘惑した蛇は、ナーハーシュ。

עֲצַבִּים
偶像 ˁăṣabîm
アサービーム。偽の神の象徴としての偶像です。

קֹדֶשׁ
神聖 qōdeš
コーデシュ。

קָדוֹשׁ
神聖な qādôš
カードーシュ。なんか天使の名前にありましたよね、ハイオト・ハ・カデシュとかなんとか。たぶんこの辺りと関係あると思うんですが

רוּהַ
魂、風、息 rûah
ルーア。ギリシアのプネウマと同じような概念ですね。
שָׂטָן

サタン śāṭān
サーターン。このsは側面摩擦音とかいうのだったらしいです。

שְׁלֹמֹה
ソロモン šəlōmōh
シェローモー。eのひっくり返ったのはあいまい母音。エと表記するのが普通らしい。