トルコの竜に関する論文を翻訳してみる

イスタンブールから帰ってきました。
トルコ語を忘れないためにいろいろしようと思っているのですが、このウェブサイト関係では、トルコ語論文の翻訳を載せてみようかと思います。
こういう素人翻訳って、元の言語が英語だった場合そのうち誰かがちゃんと商業的に翻訳してくれるだろうからあまり価値はないと思うし、すでに翻訳があるものをあえて自分で訳すのは、それを読む人のためというよりは、翻訳する人自身の勉強のため、というところが大半だと思います。でもトルコ語のように、そもそも翻訳数が英独仏中などと比較して圧倒的に少ない言語の場合、素人翻訳でもある程度価値を持たせられるのではないか、と思っています。
ただ私は語学コース規定のうち半分しか終わらせてないので文法的にはかなり知識が欠如していますし、英語のように数日で訳せるとは思っていません。そんなわけで、チョビチョビ、数段落ずつ、公開していきます。

対象はEmel Esin, 2004, Orta Asya'dan Osmanlıya Türk Sanatında İkonografik Motifler, İstanbul, Kabalcı Yayıneviより"Evren. Selçuklu Sanatı Evren Tasvirinin Türk İkonografisindeki Kökenleri" (pp. 130-150)。エメル・エシン『中央アジアからオスマン時代に至るテュルク美術における図像学的モチーフ』より「エヴレン セルジューク美術におけるエヴレン描写の、テュルク図像学的起源」。エメル・エシン(1911-1987)はテュルク美術研究の大家で、これは新たに編纂された論文集。何が書かれているのかは、翻訳しながら理解することにします……。もとは1970年の公刊。
エヴレンとはトルコ語で「竜」のこと。ロバート・ダンコフから引用――[『テュルク諸語集成』を著した]カーシュガリーは「ドラゴン」を意味するキプチャク語のサザガン(sazaġan)とエウレン[エヴレン](äwrän)を知らなかったようだ。[……]エウレンは『タルジュマーン・トゥルキー・ワ=アラビー』に「トゥバーン」[アラビア語で「竜」のこと]と訳されている。『タラマ辞典』(Tarama Sözlüğü)第3巻(Ankara, 1967), p. 1574: エヴレン「ドラゴン」、『デルレメ辞典』(Derleme Sözlüğü)第5巻(Ankara, 1972), p. 1813, 「大きい、英雄、など。大蛇、怪物」。『テュルク諸語集成』では、かまどの一種になっている!*1
アドレスはここです。

*1:Robert Dankoff, Kāšġarī on the Beliefs and Superstitions of the Turks, Journal of the American Oriental Society, 95(1), p. 79.