新刊近刊情報っ

近刊

青土社のページから。

中野美代子『ザナドゥーへの道』 相変わらず中野美代子は面白そうなテーマの本を出しますねぇ。
D・C・A・ヒルマン『麻薬の文化史』 細菌学と古典学を学んだという、世界でも数人しかいないでは?という経歴の著者。
ジョン・ハーヴェイ『心霊写真』 「宗教、科学、芸術の3つの観点から心霊写真を論じた、いままでにない心霊写真研究」とあります。日本ではすでに小池壮彦が同名の新書をかなり前に出していますが、欧米では珍しかったテーマなのでしょうか? とても興味深い本ですが心霊写真が大の苦手の私には……w


http://www.honya-town.co.jp/hst/HT/kinkan/bunko/01_b.htmlより5月の新刊文庫。

荒俣宏『イギリス魔界紀行 妖精と魔女の故郷へ』 角川文庫

http://shop.kodansha.jp/bc2_bc/release_schedule_book.jspより5月の新刊

池上俊一(訳・解説)『西洋中世奇譚集成 東方の驚異』 講談社学術文庫
↑これは何の訳なんでしょ? Andy OrchardのPride and Prodigies: Studies in the Monsters of the Beowulf-Manuscriptという本に、Wonder of the East(『東方の驚異』)という中世怪物本のラテン語・古英語テキストが英訳つきで載っていましたけど、とても短いので、たとえこのWonder of the Eastが表題になっているとしても、それだけではないような気がします。

青木健『アーリア人』 講談社選書メチエ
この人は同じくメチエから『ゾロアスター教』を出していました。妙に誤解されがちな先史〜古代インド・イランの関係を丁寧に解きほぐしてくれるのでしょうか。しかし、いまどき「アーリア人」というタイトルはどーなのか?

武澤秀一『マンダラの謎を解く 三次元からのアプローチ』 講談社現代新書
著者は建築学系の人らしい。マンダラは平面だけど、その構造はヒンドゥー教寺院の三次元構造から解読できるのだ!とかいう本なのだろうか。ヒンドゥー寺院の空間構造が世界観や宇宙論と関連しているというのは散々指摘されてますしね。

その他

ヨアン・クリアーノ『霊魂離脱とグノーシス』 クリアーノは、ミルチャ・エリアーデの弟子にして大学構内で暗殺されてしまった宗教学者です。「グノーシスとは,この時代の豊饒な神話的思考の総合であり,現代も涸れることのない,宗教的心性の一つの源であった」こういう結論だとしたら読んでみたいです。

C・マルクシース『グノーシス』 もういっちょグノーシス。「「グノーシス」とは、古代の宗教市場において、キリスト教を適応させようとする知的実験の一つであった。グノーシスをめぐる最近の議論を総括し、類型論的モデルによって古代グノーシスの神話と教説を分かりやすく提示し、今日にまで至る系譜をたどる」。こっちは紹介文を見る限りずいぶんキリスト教におもねっていますな。

風呂本武敏(編)『アイルランド・ケルト文化を学ぶ人のために』 つい最近「今に残るケルト文化を学びたいんですぅ〜」という女の子に会ったのですが、この本を薦めとけばよかったかもしれない。「ケルト英雄伝説や妖精物語を糧とし、英国植民地、ジャガイモ飢饉、移民、さらに宗教紛争など、苦難の歴史を生き延びた国アイルランド。その豊饒なる文化と文学について、斯界を代表する執筆陣による、入門から今日的課題に至るまでの三十章」。"斯界を代表する"っていうが、そんなに広い学界なのか!?

『世界神話大図鑑』 東洋書林 「近刊案内」のところにあります。また1万2千円くらいするでかいハードカバーの図書館向けの本なのでしょうか。

『世界の歴史1 人類の起源と古代オリエント』
10年くらいまえにハードカバーででていた奴の文庫版。ようやく待望の第1巻が文庫化されました。10年間待ってたかいがあった!

すでに出ていた本、Amazonで予約できる本

プルタルコス『モラリア5』
『イシスとオシリスについて』『デルポイのEについて』『神託の衰微について』など、古代ギリシア宗教の紀元前後の状況を知るのに非常によく引用されるプルタルコスの著述が日本語化されています。これは買わねば……。あとはプルタルコスは『月のかんばせ』が出てくれればいいや(なげやり)

モラリア〈5〉 (西洋古典叢書)

モラリア〈5〉 (西洋古典叢書)


ポール・ジョンソンルーン文字
なんと66ページしかないのですが大丈夫なのでしょうか。大英博物館のやつよりはソフトな内容っぽいですが。

ルーン文字:古代ヨーロッパの魔術文字 (アルケミスト双書)

ルーン文字:古代ヨーロッパの魔術文字 (アルケミスト双書)

佐々木高弘『怪異の風景学 妖怪文化の民俗地理』
この人は『記憶する民俗社会』に、民俗学としては珍しく場所論を取り入れた論文を書いていましたね。着目点はとても面白いのですが民俗学のように理論が弱い学問では展開や一般化に限界があるのも事実です。もうちっと地理学や人類学がどのような異分野を取り込んでいるのかを視野に入れてみればいいのですが……。

怪異の風景学―妖怪文化の民俗地理

怪異の風景学―妖怪文化の民俗地理

秦剛平『絵解きでわかる聖書の世界 旧約聖書外典偽典を読む』
今度は外典編。

絵解きでわかる聖書の世界―旧約外典偽典を読む

絵解きでわかる聖書の世界―旧約外典偽典を読む

山中由里子アレクサンドロス変相 古代から中世イスラームへ』
中世イスラームアレクサンドロス(イスカンダル)! ここ1年ほどもっとも興味のある分野なのだけど、高すぎる〜

アレクサンドロス変相―古代から中世イスラームへ―

アレクサンドロス変相―古代から中世イスラームへ―

エルンスト・ヘッケル『生物の驚異的な形』
いやまー、ヘッケルは神話伝説や幻想動物には直接は関係ないですが、なんとなく博物学の一環ってかんじで……。

生物の驚異的な形

生物の驚異的な形

兵庫県立歴史博物館『図説 妖怪画の系譜』
もうずいぶんと前から食傷気味かもしれない妖怪画分野の新刊です。

加藤耕一『幽霊屋敷の文化史』

「幽霊屋敷」の文化史 (講談社現代新書)

「幽霊屋敷」の文化史 (講談社現代新書)