帯を締める位置

久しぶりに日記を書くものだからはてな記法を色々と忘れてしまっている。
それはともかく。

Amazonマーケットプレイスで『コーカサス民話集 森の妖精』ってのを買った。以前住んでいたところの図書館にあったけど、今は近くにないから買ったのです。ロシア語のグルジア民話・伝説集からの翻訳のようだ。最初のほうの神話的物語のセクションを眺めていたら、興味深いところがあった。

「我々が今見ている世界の外に、もう二つ、人間の住んでいる世界がある」。一つは高いところ、一つは低いところ。そして我々は真ん中に住んでいるから帯を胴の中ほどで締める。低い世界の人々は尻の辺りで、高い世界の人々は胸か首に締める(p. 12)。

これとまったく同じ話を私は知っているのだ。それもコーカサスからずっと離れたウイルタの人々の伝説である。ウイルタは樺太に住んでいる少数民族。池上二良の『ウイルタ語辞典』によると、ボーッケーンネーニたちとは天上に住んでいる存在であり、帯を胸のところで締めている。逆に、ケルメンネーニたちは地下に住んでいて、帯を腰より低いところで締めている……

類話があるのかどうかはまだ調べていないが、グルジア樺太という、もとは同じソ連とはいえずっと離れたところでほとんど同じ異世界住人についてのモチーフがあるのは興味深い。北アジアシャーマニズム的世界観では世界は階層的になっているという考えがあるが、これはそれに関連した観念なのだろうか。