ヨルムンガルド

実は私、数週間前までヨルムンガドのことをヨルムンガドと間違えておりました。検索してみるとこの間違いはかなり人口に膾炙しているようで、ああよかった、と一安心している次第です。
なぜ間違えるのか? たぶん、アースガルド、ウトガルドのガルド(より近づけるならガルズgarðr「垣根」「園」)と混同してしまったからなのでしょう。
ところでJǫrmungandrって語源がよくわからないようです。Rudolf Simekの北欧神話辞典には「大きな怪物」とあって、前半部のJǫrmun-がヨルムングンドJǫrmungundr「大地」やイルミンスールIrminsûlなどと関連するオージンの別名で、だいたい「大きい」を意味するのだろうとのこと。これはいいのですが、ガンドgandrのほうがよくわからない。原義は「魔術」「魔法の杖」らしいのですが、それがどうして蛇を意味する言葉になるんでしょ? ヤン・ド・フリースの古ノルド語語源辞典によればgandrには上の2つに加えて「狼」という意味があり、合成語にはフロートガンドhrótgandr「炎」、ヴァーナルガンドVánargandr「フェンリル」、そしてヨルムンガンドがあるそうです。そのほかの地域の類似語はいずれも「魔術」や「杖」「吠える突風」なんかを意味するようですが……それともやっぱり魔術>怪物、狼って自然な流れなのか?