マニ教版「巨人の書」

 たまたま最近Sacred Textsというウェブサイトに、私が最近探していたThe Book of the Giants(エノク書にもともとあったといわれる、ネフィリムの物語。ただ、死海文書から出てきた巨人の書にはエノクの名前が出てこない上にそもそも除外された理由もはっきりしない、最初から独立した物語だったとする説もある)が追加されてました。1943年のらしいですが、著作権ってどうなってるんだろう?
 これはBulletin of the School of Oriental and African Studiesという雑誌に掲載されたもので、全体の半分が脚注だという、学術論文の王道を行っている構成です。もとのには原文の転写もあったらしいですが、ここではオミットされています。でその翻訳のほうは、笑っちゃうほど断片だらけで、ヘニングさんの序文がなければ何が何だかわからない。

 読んでみる

 フンババのホーバービシュ発見(Aのfrg.j)、でも注釈にはコカビエルのことか、とある(コカビエルの語源はコーハーヴで「星」。カ行とハ行はしばしば混同される)。半世紀前のだから、解釈も変わったということでしょうか。(ところで、こういった類の文書ほどExcite翻訳に適したモノはないでしょう……)
 Frg.bのおわりには「しかし神[ズルワーン]は、それぞれの時代に使徒を送った。シー[ティ、ザラスシュトラ]、ブッダ、キリスト・・・」う〜ん、マニ教キリスト教のみならず仏教まで取り込んでいたというのは知識では知っていたんですが、本当に並んでるとは。

 とまあ、いろいろありそうなんで、暇な人は読んでみてください。