日本には不死という概念がなかったのか

 英語の神話関係の文を読んでいると実に多くの場面で人間のことをモータルmortalと呼び神々のことをインモータルimmortalと呼んで区別している。そこでこれを訳そうとすると、immortalは不死でいいけどmortalは直訳するなら「死すべき存在」というぎこちない日本語になってしまう。だからといって「人間」や「生き物」と訳すのはおかしいなんかいい訳語がないかと思ってみたけど、どうもそもそも日本には不死と死すべきものという対立概念がなかったのではないか。神話にも黄泉平坂や石長姫の物語はあるけど、元々不死だったとはどこにも書かれていない(石長姫のほうは天皇家だけの神話だし)。だからこの二つの、英語では自明な対立も日本語にして説明しようとすると難しいような気がする。