動物と植物の合いの子
「幻想動物の事典」のようなウェブサイトをやっていると時々問題になるのが、今回のエントリのタイトルにあるような生き物です。たとえばマンドレイク、スキタイの子羊、バーナクル。植物なんですが、動物のようにも見える厄介なやつら。
そんな厄介なやつらのうちスキタイの子羊についての古典的な論文をまとめて一冊にしたヘンリー・リー&ベルトルト・ラウファー『スキタイの子羊』の訳者解説のところに、動物と植物あるいは人間と植物が共存しているような植物がヨーロッパ中世の植物誌には書かれていたとして「カヴァラリタス」と「コルボボリストラガス」、「ロキティス」というのが挙げられています。
カヴァラリタス? コルボボリストラガス? これまで一度も耳にしたことのないような幻想植物だったので色々と調べてみたのですが、なかなか見つからず。ずっと放置していたのを、最近ふと思い立ってGoogleで調べてみました。適当にcavaralitasとかそれっぽい綴りを入力してみたら、見つかった。カヴァラリタス(Chavalaritas)http://encyclopedia.farlex.com/_/viewer.aspx?path=hut&name=aa327332.jpg。
どこかの百科事典サイトの画像のようです。どうやらこの、いかにも中世から近世にかけての植物誌の写本のように見える図入りページに載っている、上のほうは実(?)をつけた普通の草で、根っこのほうからなぜかヘビが生えているこの植物がカヴァラリタスらしい。説明書きには「14世紀イタリア、トレントの植物誌[Herbal]。縫合と止血に使われた植物カヴァラリタス・ロマが描かれている」とあります。それだけです。詳細な出典はどこにもありません。
とはいえ、とりあえずカヴァラリタスというのが誤植でもなければ創作でもないということは判明したし、しかも本当に動物と植物が共存しているよくわからない生き物であるということもわかりました。さすがはインターネッツというところです……
ロキティスのほうもlochitisと打ち込んで調べてみると、どうやら植物誌にそのような植物が載っているらしいということまではわかります。どういう性質を持っているのかまではわかりませんが。
問題はコルボボリストラガスです。「コルボボ」というところからしてヨーロッパ系の言語ではなさそうな感じなのですが、いったいこれはなんなんでしょうか? ラテン語に慣れた人ならばもしかしたら何かの単語が元になっているってことの推測ができるのかもしれませんが、あいにく私は慣れていません。うーん、せめて綴りだけでもわかればいいのですが……。
ちなみにこいつらの名前が出ている訳者解説では、珍しくイタリア語文献中心の解説がなされています。カヴァラリタスが描かれているらしい植物誌もトレントのものだということを考えると、もしかしたらイタリアの資料か論文にそのような生き物が紹介されているのがあるかもしれません。
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