クレーマーになりました

もしかしたらご存知の方、おられるかもしれませんが。

PHP文庫の新刊『世界の「神獣・モンスター」がよくわかる本』監修者の神話学者である東ゆみこさんがご自身のブログに、(以前監修した「神々」版があまりに無茶苦茶だったことを反省して)「『世界の「神獣・モンスター」がよくわかる本』外伝」と称し、「監修作業を経た今、とにかく一番驚いたのは、神獣やモンスター(怪物)、幻獣といったものに関して、いいかげんな情報があまりにも広まってるということ」としてそれらについての情報を提供しています。

しかし先日私が少し見たところ、そういっている本人が間違っている情報を提供しているのを発見したのでメールを通じてコメントしたところ、即日で訂正されていました
これだけ反応が早いとコメントしたほうとしても嬉しいですし、東さんに対する信頼も高まるということで、とてもよいことなのだと思います。

また東さんのブルトガングについてのエントリには

私が心の底から願うのは、今後、神話に関するホームページを作成する方々、さらには、神話に関する記事を書く執筆者の方々が、できるだけ間違いを広めないよう、日本語の文献だけでもいいので、原典を確認してほしいということです。
とあるのですが、何年か前、このブログに私もまったく同じようなことを書いた記憶があります……w どこだったっけな。



ちなみに、この本の担当者の一人であるらしい方の電氣アジール日録には「『世界の神々』以来、ハッキリ言って、先行類書は存在しますが、今回は本ッ当に、その中でもちょっと例を見ない出来になっているはずです。と、いうのは、今回、執筆資料にするため同様の本を探してみて痛感したが、たいてい先行の「世界の神話や伝説に出てくる怪物の本」というと、「世界の〜」と銘打っておきながら、実際その内容は、ヨーロッパと中華文化圏のものがほとんどとなってます。ヨーロッパでいえば、ドラゴン、フェニックス、ユニコーンetcetc…、東洋では、鳳凰麒麟、九尾の狐etcetc…この辺は定番として、北米、南米、アフリカ、オセアニアなどの神話や伝説に出てくる怪物が載っている本はなかなかありません。」とあるんですけど、この本の「グランガチ」、「キリム」などの直接の元ネタであろう苑崎透『幻獣ドラゴン』(1990)はまさにそのあたりの怪物を載せていたりするのです。そしてこれに発する新紀元社系の事典、草野巧『幻想動物博物館』『幻想動物の事典』にもそれなりに載っているし、何よりも大御所たる水木しげる『妖鬼化』にも大量に載っていることを忘れてしまっていては困ります。


せっかく訂正していただいているのはありがたいのですが、やはりこういうのは神々や幻想動物への愛着やこだわりがどれほどあるかによって、自分の先入観や見識の狭さを暴露してしまうことになるものです(世界のモンスターについて興味があるのなら、できれば中岡俊哉、佐藤有文あたりにも手を出してほしい)。