民衆宗教、切支丹

 そういえばちくま学芸文庫から『マハーバーラタ8』が出ているなと思って書店に行ったのですが、読んでみてもまだこの先のことは決まっていない様子。どうなるんでしょう。できれば全訳にしてほしいところですが、上村さんの方針はけっこう独特なものがあるようで、難しいのかもしれません。

 んで、ついでに古本屋によって、岩波から35年くらいまえに出た『日本思想体系』のうち「民衆宗教の思想」と「キリシタン書 排耶書」というのを計2400円で買ってきてみました。

 「民衆宗教の思想」は幕末から維新にかけてポコポコ成立したいわゆる初代新興宗教の教典ばかりを集めたもので、面白そうだと思って見てみたものの思いっきり民衆宗教チック、なんというか、ひらがなばっかりやデタラメ当て字のようないかにも、な文書ばっかりで通読する気になれず。また暇になったら頭から読むべし。

 「キリシタン書」。日本のキリスト教には独特の神話や表記があるというのは、何年も前からJDさんがあちこちで紹介されていたので知ってはいたのですが、じっさいに買ってみたのは初めてです。

 中身はこんなのになってます。

 ルシファー「これはマサン木の実(知恵の実)」
 エヴァ「それは法度の物なると、きゝたるが、たべてもよろしく候や」
 ルシファー「これをたべ候得ば、みなデウス同然の位になるがゆへに、法度也」
 エヴァ「さようにて候や」
 ルシファー「これをたべて此ジュスヘル(ルシファー)くらいになりともなられよ」
 アダム うたがいながら、これをたべる。

 なんとも無国籍な創世記です……。
 また、ルシヘルは漢字では婁須辺留と書くそうな。堕天使を天狗というのは、幻想動物の事典にも書いてあります。