エジプトの悪霊

 私がいまだに恐ろしくて手をつけていない古代文明が一つあります。

 それはエジプト

 おそろしい、おそろしい。

 『エジプトの神々事典』なんか、出版されてすぐに買ったのに、いまだにほとんどのページが未見なのだ。

 ところで、メソポタミアの悪霊や怪物については、『幻想世界の住人たちII』で取り上げられていることもあり、かなり知れれているのではないかと思います。怪物についても、ギルガメシュ叙事詩だけでフンババ、アル、ギルタブルルと名前がある存在が出てくるし、『エヌマ・エリシュ』にも多く出てくるので有名だと思います。しかし、エジプトの悪霊や怪物ってあまり知られていないような気がしてなりません。
 バとかカとか、あれは人間のものだし誰でもなれるので(?)悪霊とは違うし、怪物にしてもアポピス(神々事典による暫定的読みだとアーアペプ)、アミメット、スフィンクスくらい? エジプトの神様がたくさん載っているエジプト神話 神々名簿を見てみても、せいぜいハ、ババイ、ゲレグくらいでしょうか? この事典に載る資格があるのは。
 というわけで調べてみているんですが、なかなかまとまった資料がないです。どうもある雑誌に悪霊たちが載っているという情報を得てその雑誌を最寄の図書館で調べてみたものの、なぜかその巻だけ抜けていました。東京の友達の最寄の図書館の在庫を調べてみるとあったので頼もうかとも思いましたが、量が多いし、あまり手数を掛けるわけにもいかないのでやめ。どうも呪われてます。
 そういえばマフートという蛇首ライオンはライオンだったかな、と思って『幻想動物事典』をひいてみると、つづりはMakhdet。あれ?これってマフデトって読むんじゃないの? だとしたら別の神様じゃん! 新紀元社の出版物によくある勘違いなのか? と思いつつ検索していたらStrange (Fantastic) Animals of Ancient Egypt by Jimmy Dunnというのを発見。Serpopardというからサーポパードという(英語の造語による)通称がつけられているらしい。この猫ろくろ首の固有名は知られていないそうで、残念です。じゃあマフートって何の勘違いなんだ?という疑問は残りますが。ほかにもグリフィン(セゲトSGTと呼ばれていたかもしれないが、違うかもしれない)、「セトの動物」、双頭牛、象さんの鼻にウサギの耳の二足歩行動物(宇宙人のこと)などの図像が知られているそうです。名前や神話は知られていないようで、これまた残念。

 というわけで、いろいろ情報を求む・・・


※上のストレンジアニマルのページの参考文献にある"Complete Gods and Goddesses of Ancient Egypt"は2003年の出版で、レビューによれば500もの神々や精霊が載っているとのこと(なお、エジプトでは1500くらいの神名が知られているらしい。メソポタミアの場合は3300[これは古い調査によるもので、誤訳や重複が多いらしい。現在では2000くらいだとか])。出版年からしても最新の情報が多そうです。英語に拒否反応がなければたぶん「買い」なのでしょうけど、ちと高いです。