一角獣とは何か

 もう一度疑問です。ユニコーンの起源は、クテシアスやメガステネスにある「インドのロバ」だとされ、それはカルタゾノスやモノケロスと同一視されている。しかしインドのロバはクテシアスもアリストテレスプリニウスも単蹄だとしているにも関わらず、絵画におけるユニコーンはすべて偶蹄である。何故か。なお、カルタゾノスやモノケロスの脚は象のようである、とされている。

 ここで考えられること。
ユニコーン絵画の典拠は古典著述家の資料ではない
→この場合、まだ詳しく調べていない70人訳聖書のレエムとの関係や、古代西アジアの彫刻などから直接想を得た、という可能性が考えられる

・画家は古典著述家の資料を誤読した
アリストテレスプリニウスによる蹄と角の関係の書き方は結構ややこしいから……

・象の脚のほうを優先して偶蹄にした
→つまり、「インドロバ」はユニコーンの祖先ではなく、「モノケロス」が祖先であり、画家はモノケロスとインドロバ(リノケロスではなく)を区別していたということになる。ここから派生する疑問としては、先述したようにモノケロスとインドロバのモデルは異なるのではないか、というもの。

・角があんなら偶蹄じゃねーのという画家の独断
→だめかもしれんね。

・toroiaがとんでもない勘違いをしている。
→誰か助けて


 これまでは一角獣(・・・一角の動物全般)の記述つまり文章による説明を中心に調べてきたのですが、今後は「最古の図像」を含めて、ギリシア・ローマ時代からフィシオロゴスの時代にかけてのヨーロッパにおける一角獣の図像を追いかける必要がありそうです。
 ただ、こういうのの問題は「重なりの状態を表現する方法」。三次元のものを二次元に押し込める方法。横から見れば二角の獣の角は1本に見えます。インダス文明においてそれがなかっただろうことは先述しましたが、メソポタミアにおいては普通に家畜としての牛の角が1つだけしかなかったりしてややこしいことになります。また、蹄も横から見れば奇蹄類だか偶蹄類だかわからなくなります。特に西アジアの彫刻壁画では斜めからの視点というのがあまりないようで、そうなると謎は増えるばかりです。

 それと、何故か幻想動物事典の類に、アリストテレスが一角であると明記しているオリュクスが載っているのを見たことがないんですが、なんででしょう?明らかに空想上の動物なのに。