くねくね、カシマレイコ

怪異伝承紳士録なるページを発見。
うちと同じようなコンセプトらしいが、ゲームの属性?みたいなのが付いていてよくわからない。それにしても1日1項目登録実施中とはいいですね。



なりゆきでそろそろくねくねというページを発見。
この文章、とくに最後の段落についてはうちの事典の「くねくね」に触発されて書いたのではないかな、と思ったり。
何を書いたか。
「田んぼ1」が原型だとすると、くねくねは、何も考えずに見ているうちは恐くも何もないが、それが何か理解すると破局が訪れる存在である、ということになる。つまりくねくね側は「いる」だけであり、それを「発見」し、「解釈」する人間によって解釈する主体自身に怪異が起こるという仕組みになっている。そして解釈した側はその解釈を他者に説明することができない状態になってしまうため、結局それが何かを客観的に理解することは不可能ということになる。
 すべからく怪異・妖怪というものは説明できない/理解できない現象が編集-取捨選択/解釈-具体化されることによって定義づけられ、この事典に収録されるような「名称とキャラクター」「意味と形態」がセットとなって人々の間に伝承されるわけだが、この話の場合、怪異を言葉によって編集/定義すること自体を拒否する構造が特徴的である。そういう構造について、話者は理解するものと理解できないものを併置することにより、古くからある「知る物は死んでしまう」話をメタ的な視点によって語れる仕組みになっており、そこに「死ぬんならなんで知ってるんだよ」系の突っ込みを入れる余地はない。また、見るだけで狂ってしまう存在も古くから多く伝えられているが、それは(見られた側による見た側の意識への直接操作を除けば)その容姿や能力、つまり情報が人間の思考の処理能力を超えている、要するに五感から入力される情報過多で意識がオーバーフローしてしまうことによるものだと考えられ、くねくねの場合、既知・習慣的で確実であるはずの編集/解釈過程で想定外の処理が行われてしまう、つまりバグによって狂ってしまうところが異なる。理解できずに狂うのではなく、理解したから狂う。バグの原因が常にそうであるように、くねくねの正体・条件は現状では想定外でありながら、実際のところは単純にその方向への分岐を考えていなかっただけであるというところに、聞き手(この場合は読者か)の介在する余地が存在している。しかしたとえ聞き手であろうが読者であろうが、想定外の処理というものを発見するにはまず予想される分岐を頭の中で実行しなければならないというのが人間というものの限界であり、限界であるということはこの物語の物語たる所以でもある。
 「理解する」ものが存在し、それが子供であると言うことは我々誰しもがくねくねの正体を知ることができるということを直接的に示唆する。被害者が子供限定であり、「田んぼ2」から想定される「大人は知っている」という推測は、この怪異を客観的に理解できる(たとえば精神疾患をほのめかす語り口を理解できるような)年代の人間にとってみればリスクが少ないと言うことにもつながり、様々な「正体についての仮説」を提示し、それらについて議論する可能性がほぼ無限に広まっていることになる。そして、その「正体」にくねくねの形態・動作・場所・状況・時間がかけあわせることによって初めて狂気の全貌が明らかになる。
とくに最後の段落ね。
・・・よく考えたら自惚れか。

このページ、かしまさんという妖怪の考察、とくに「」についての考察をしてます。脚に関する考察はよいとして、なぜそれが下半身への考察に進展しないのか謎。下半身って、どこからかといったら、要するに生殖器と肛門のあるところからじゃないですか。脚がないと、この部分が身体の最下部になるわけですよ。しかも防御するための両脚が存在しない。さらされる状態。そして、おそらくこれはもっと大雑把な「下半身がない」という言説によってさらに、逆説的に性的倒錯の意味合いを強めることになるわけです。もう閉鎖してしまっているようなので見られませんが、以前あった現代奇談というページ(都市伝説ページの大御所。この妖怪について非常に多くの議論が行なわれていたことで有名)ではこの妖怪の脚についての問題を提示するとき「ジェンダーが」云々とあったのですが、そのときこのことは語られなかったんでしょうか? 
このほかにも色々と考えて書いてみたんですが、『呪いの都市伝説カシマさんを追う』に入っていそう。ただ、さっきAmazonで中身を覗いてみたところ、「切断のイメージ」という節に書かれてなかったようなので、一応書いてみる(この本は考察というよりは、連想と思いつきからなっているようだ)。下半身がないのと脚がないのとは大きく違う。なぜこの妖怪は脚を取り、テケテケは脚がないのではなく下半身がないのか。大雑把に言えばそれはイメージの問題。だって・・・