有り得ない話

 聖主ゲセル・ハーンは、漢土へ行くに際して、妃のアルルン・ゴアを馬で一月と二十日もかかる遠いところに匿っておいた。人々はこの隠れ家を知らなかったが、どういう訳かチョトン・ノヤン(変態叔父)には嗅ぎ付けられてしまった。

 中略

 アルルン・ゴアは彼を型どおりもてなすと、早々に帰らせた。
 チョトン・ノヤンは家に帰って、七、八日経つと、またやって来た


 若松寛訳『モンゴル英雄叙事詩 ゲセル・ハーン物語』より

 叙事詩といえば矛盾と誇張なわけですが、ある章の冒頭からこれです
 一気に脱力。