山海経のなかの幻想動物たちの形態的分類

 ちょっと前に逆引きリストというのを作ったところ、山海経に詳しそうなららさんからコメントをいただいたわけですが、面白い論文を見つけました。
 明治大学教養論集363号(2003年)「動物幻想とその表象類型 『山海経』の幻想動物の形態的特徴をめぐって」 張競
 張さんは『天翔るシンボルたち』という幻獣の本も著されている方なんですが(この本、偶然八重洲ブックセンターで見つけて買ったんですが、面白いです)、この論文では山海経に特化して色々と分類をしています。論文の表題はなんだか面倒ですけど、内容はかなりわかりやすいです。

こんな構成

1.異種同体の幻想
 合成獣「モザイク動物」について。獣類を「家畜」と「野獣」に分けてる。
2.肢体過剰への好奇心
3.空想としての肢体不足
4.「史実」とされた動物幻想
 史書から怪物たちをピックアップ。

 張さんは、幻想動物といえば神話的・文学的に研究されることが多いわけだが、当時の人はそれらを単に動物の一種だと思っていたことも多いのだ、として分類の必要性を説いています。なるほど! この論文はイラストも多く、見てて面白いし、分類しているのも何というかシンクロニシティ!って感じで素敵です。