もののけ@「ものと人間の文化史」

 モノにこだわりつづけることで有名な法政大学出版局の「ものと人間の文化史」、その最新刊はスバリ「もの」というか「もののけ」だそうです。上下二巻。
新刊案内

「ものぐさ」「もの好き」「もの悲しい」など、名づけえぬ対象を指す万能のゼロ記号〈もの〉の文化をめぐって、日本の妖怪変化、未開社会の〈マナ〉、西欧の悪魔やデーモンを比較考察し、それらを自然と人間、生と死の対立構造における内外の自然に対する抑圧の機構として見直す。古今東西の膨大な文献と民族誌を渉猟して、人類文化を絶えず脅かしている〈異様なもの〉への想像力の歴史を浮彫りにする。
自然=カオスと文化=コスモスの対立の中で、人間は常に〈野生の思考〉を働かせてその対立を乗り越えてきた。日本の鬼、古代ギリシアのダイモン、中世の異端狩り・魔女狩り等を比較しつつ人類の魔物観の普遍的共通性と特殊的差異性を浮彫りにし、人類文化史の隠された意味を解読する。〈魔物〉をめぐる東西文化の比較を通じて西欧的思考の二項対立と東洋の〈融合〉の思想の奥深い背景をさぐる。
 著者のほかの著書を見てみると文化人類学者ぽいですね。下巻のあらすじに「東西の比較」とあるのですが、こういうのって必ず恣意的で陳腐になりがちなのですけど、人類学者ならかなりまともなものが期待できそうです。

 しかし上下合わせて6300円というのは高い……図書館にはまだ入ってないし……。