幻想動物の範囲

アンドリュー・クロス - 生命を創り上げた男

ここにある「クロスダニ」は幻想動物に入れてしまって構わないのだろうか?

……というか、ある程度科学が発達した後の「勘違い発見」によって一時期科学的事実と見なされたものの、後の科学の発展によってその存在が否定された動物たち   まあこの場合は微生物なわけですが   もまたこの事典に入れていいものだろうか?


 この事典には当時最先端の科学だったアリストテレスの『動物誌』にある一角獣なんかも含めているわけですし、大航海時代以降の無数の探検家たちによる勘違い発見による動物も当然の如く怪物として項目に追加しています。それは水木しげるや荒俣弘がドラゴンや人魚などと並べて「妖怪」「怪物」に分類して論じているということもあるんですが。その線でいけば、例えば19世紀末のスキャパレルリ&ローウェルらによる「火星人(Martian)」などの、アカデミズムの側による(決して現代のUFOのような非「学術」的な方向からの主張ではなく)幻想動物たちも充分入る資格はあると思うんです。今は私自身科学史に疎いのでこれ以上の例を挙げることが出来ないのが残念。クロスのもファラデーが追試したとはあるけど当時から異端扱いだったっぽいし。
 これまでの幻獣事典なんかには、近現代の幻獣としては都市伝説の妖怪や幽霊、未確認動物なんかは入っていてもこのような現代の「非庶民側」の幻想的存在は、そもそもあまり情報が漏れにくいしその他色んな理由で滅多に掲載されないように見えます。(科学のミス・勘違いだけを集めた本ならいくらでもあるけど)