ヴァレーズとシェーンベルク

完全に当blogのテーマからは逸脱してます。

数ヶ月前に初めてシェーンベルクの「管弦楽のための5つの小品」(1909年)のスコアを見て(そのあとで聴いて)気付いたことなんですが
この曲とヴァレーズの「アメリカ」1922年版って酷似してるところがありますね……。
1つは、シェーンベルクは第3曲のホルン(ミュート付き)三連符が終わって不協和音で管楽器が同音連打するところ。
↓(強弱記号などは省略、以下同。どれもffかfffです)楽器編成はホルン6以外は1つ1パート。ヴィオラ書き忘れたごめんなさい
赤かったり青かったりは気にしないでください

で、ヴァレーズのほうは冒頭のアルトフルートソロがおわったところ。
↓楽器編成はフルート1&2と3&4、オーボエも1&2と3&4、ホルンは8人、トランペットは6人、ほかは1つ1パート。
※移調の種類が多いので実音表記。

てか全く同じといってもいいですね。ヴァレーズのほうが楽器編成が分厚くてリズムが多少複雑なだけで。
ミュート付きホルン→ミュート付きトロンボーン→トランペットとヴァイオリンのユニゾン和音→木管のリズム
ヴァイオリンの下パートが半音階下降だというところまでそっくり。というか剽窃
このあとに続くのはシェーンベルククラリネットソロ、ヴァレーズが10人の打楽器アンサンブル+アルトフルートなんですが。

もうひとつ、シェーンベルクの第1曲終わり近くのファゴット

3ファゴットニゾン+ハープ。

ヴァレーズのほうは改訂版ではカットされた?ところ。
4ファゴットニゾン+ハープ。

やばいです。5音のグループが数回繰り返される、音程がほとんど同じ、楽器に至っては全く同じ、何を考えてるんでしょう?
ヴァレーズなりの先輩シェーンベルクへの敬意なんでしょうか?
そういえばブーレーズが22年版を演奏しないのは、作曲時ヴァレーズはベルリンにいてドイツの影響を受けているからだ、とも挙げていたんですが、
それってこれのことだったりして。
でも似てるよなあ。

ついでにホルストの「火星」ラストと「アメリカ」のラストもそっくりです。強烈な和音が最強音でやや不規則に連打されるところ。
まあ、これはアレだ。アレですね。アレです。


4/27
もう1つ見つけた。
まずはシェーンベルク。移調楽器は実音。コントラバスクラリネットオクターヴ移高楽器はそのまま。

次はヴァレーズ。移調楽器は移調のまま、、、てか実音表記にするの忘れてました。
オーボエとBクラリネットがユニゾン、Aクラリネットオーボエオクターヴ下だということが分かれば十分です、ハイ

注目は木管楽器(オーボエクラリネット)とトロンボーン(両曲ミュート付き)の関係です。
半音階で掛け合っているというのが分かります。

またそっくりです。

しかも両者とも完全5度の音程だし、3拍子に2つ音符のグループが押し込まれているというのも同じ。

3拍子の中に弦楽器が4連符で旋律を奏するという構成もそっくり……シェーンベルクの方はカノンで、4連符ではあるが3音グループという風にヴァレーズより複雑になっていますが。

そういえば、コントラバスクラリネットを使うオーケストラ曲というのもシェーンベルクのこの曲とヴァレーズのこの曲と、あとクセナキスに一曲あった以外は有名な曲には滅多に存在しないですね。