人狼

狼男は実在するか - リカントロピー、人獣化現象x51.orgより。

 (今実家に帰っていて手元に資料がないのであまり確固たることはいえないのですが)

 人狼現象のような超常現象に対してX51が紹介しているような科学的なアプローチがあるのは結構有名です。そしてもちろん、ここに紹介されている近代の具体的な事例などは狂犬病や精神病などで説明可能でしょう。(私の母の実家の近くに狐憑きのオバアサンがいたそうです。今で言う精神疾患の一種だったらしい)
 ただ、それをさかのぼって当てはめてしまうのは危険です。例えば吸血鬼伝説の発祥と狂犬病の流行が一致するので……という下りがあるのですが、これはあくまで西欧に初めて知られた時期と流行の時期が一致するだけであって、吸血鬼を意味する単語や吸血鬼に類似した現象自体は11世紀ごろから知られています。また、エリアーデが「ザルモクシスからジンギスカンまで」で論述しているダキア人の結社や北欧のベルセルクのように、単発的なものではなく集団的な獣人というものも知られています。そこにあるのは個々の現象を納得できるカテゴリに逐次放り込んでいくというよりは、複雑な宗教や世界観が現実に形をなして現象として現われるものです。
 それと、 ニンニクや光といった強い刺激に対し、過敏に反応するようになる事、噛み付きによって感染する事 こんな条件の揃った吸血鬼なんて滅多にいません(笑)。そもそもこのような狂犬病の人が、吸血鬼の第一条件である「生ける死体」である必然性ゼロです。人狼のように生ける者の変化とならずに死体でなければならない理由が全く説明できません。

 個人的には霊もあの世も一切信じないのですけど、逆にそのような民俗的な現象を精神疾患だとかで片付けてしまうのもあまり好きではないです。