やるきをなくすぶっきょうきょうてんのなかのやくしゃさんたち

大千世界 投稿者:Toroia  投稿日: 3月16日(火)16時00分51秒

 図書館で『望月仏教大辞典』の「鬼神」の項目を発見して眺めてみたところ、
マジで仏典には凄まじい数の「鬼神」が掲載されていることが分かりました。
ああいうのって数が多ければいいというインド的な発想からくるんでしょうか、
「鬼神」の項目に紹介されている仏典を参照するだけで本当に1000越えてしまいそうな勢いです。
※問題は「読みがわからない」「外字が多い」「漢文だからどこが名前かわからない、説明の意味がわからない」
「どれがどれと同じサンスクリット語を元にしているのか判別困難」などいろいろありますが・・・

例えば『仏母大孔雀明王経』中巻には摩那波、金翅鳥はじめ154の「薬叉神」が住所とともに羅列されており、
さらに10+12+73の羅刹女も羅列され、
『灌頂経』にはまず172鬼神王が羅列され、36須弥頂上神王、21神王女などなど・・・
ざっと数えてみると900以上の名前が挙げられているらしいです。
その他にも無数の経典に鬼神があり、
「我が国に於て普通に鬼神と称せらるものは、上記の諸鬼神中、僅に其の一部分に過ぎず」
と書かれてます。

もうだめぽです。とりあえず図書館で「仏母大孔雀明王経」を『大正新脩大藏經』19巻密教部2の415ページから
見つけて読んでみようとしましたが上記の問題が絡んできてさっぱり意味がわかりませんでした。
あ、でも、個々の鬼神の名前に対応する梵語表記があったので使えるかもです。どっちにせよギブアップ……



 というのを書きました。んで、ようやく身辺整理が終わって新年度に向けた準備ができるようになったので、図書館に行って件の『大正新脩大藏經』19巻密教部2を借りてきました。「仏母大孔雀明王経」のほかに無数の中小規模の経典が載っていますが、「孔雀王呪経」「仏説大孔雀王呪経」「孔雀王呪経」など「仏母」に関係のある経典もたくさん入っています。

 というわけで、まずは上のほうの「梵語注記のある薬叉」のあるところを探して入力です。まずは下書き。
 とはいっても直接手で入力するほど私も馬鹿じゃありません・・・大正新脩大藏經テキストデータベースという東京大学のプロジェクトで無料公開されているテキストデータを使わせてもらいます。
 これであれです。SATのテキストは原典どおりに改行されていますが、スペースは無視されてます。原典(大正大蔵経)は次のようになっています。
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 つまり5+スペース+5ごとに改行されています。そしてだいたい一行の前半が夜叉名、後半が説明になっているので、WordsworthへエクスポートできるCSVにコンバート(といっても手動で、ですけど)するのには最適の形式になっています。
まずはSAT特有の特殊なタグのようなものを削り、WordsworthにエクスポートできるCSV形式にコピペで整形。各項目に共通な「参考資料」「参照項目」「文化・地域」をまずはそろえる。続いて外字、これは手順を間違えてしまって全部手動でやらなくてはならなくなったのでかなり時間がかかりましたがなんとか終了。んで、個々の項目の解説。とはいっても「どこどこに住んでいるのがこの薬叉である」という程度のことし書かれていないので、難しい仏教漢文を読みこなす必要はなく、ほぼ単純な手作業になります。
 上のほうで太字にしておいた「だいたい」ですが、実は5字で全部無理やり揃えているため、名称がかなり不統一になっています。あるところでは薬叉、別のところでは大薬叉、説明が足りなくなると次の行の前半に持ってきて、名前が短いと一行に併置、と言った具合。この辺りは、まあ数が多いというわけではないので手動で対応できますわな。

 問題は上に書いたように「読み」「対応する梵語名」です。「読み」ですが、手元に漢和辞典がないので呉音がわからず、今のところは放置!。続いて「梵語名」。これがあれです。シヴァとかヴィシュヌとかでてきます。夜叉じゃないだろお前ら!とか言いたくなります。それに他の仏典では夜叉とはされていないのも夜叉リストに入ってたりします。どうやって説明すればいいんだか・・・・・・。文面からはわからないでしょうけど、現在toroiaはかなりいらだってます。梵語名シッダルタというのが出てきた時点でぶちキレです。お前らお釈迦様まで夜叉にする気なのかよ!
 やるきをなくします

 さらにほかの孔雀王系の経典を読んでみると、いくつか羅列されている鬼神名がそのままコピペされていたりしているようです。このあたり、「これはあれとそれに載っている」と本来は書くべきなのでしょうけど、そこまでやる気は今のところ、ありません。ヘロドトスとアポロドーロスのネレイデス比較ならカタカナだし楽だし訳者さんも方言を統一していることが多いから楽なんですが、こっちは本当に原典なのでなかなかできない……。このような鬼神の羅列を整理している研究論文、どこかにないものだろうか?