エジプトの神様百科

 ほんの少し前に(エジプトの悪霊 10/16)、エジプトの神様についての最近の洋書ということでThe Complete Gods and Goddesses of Ancient Egypt by Richard Wilkinsonというのを紹介したと思うのですが、今日書店に行ってみたら、

 邦訳が出てました。しかも出版日が10月25日。

 題して古代エジプト神々大百科内田杉彦訳(リンク先は出版元)。ちなみにAmazonは在庫切れ。なんでやねん

 そういえば東洋書林って少し前にも「図説古代オリエント辞典」を出していましたし、なんかエジプト関連の神殿の百科を出してもいるようです。でも、どれも高価ですよね。アマゾンで4千円で(原書が)買えるのに、これは13650円もするわけで。

 ざっと立ち読みしてみると、翻訳のさいには「著者の了解を得て間違いは訂正した」とあるし、訳者もエジプト専門家っぽいので、これはこれでエジプトマニアの方々には売れそうではありますね。私は買いませんけど。
 リュト・シュマン・アンテルム&ステファヌ・ロッシーニの事典と比べてみますと、ウィルキンソン事典のほうは神様の数は多いし図版もきれいで多彩。かなりの数がフルカラー。概説もかなり詳しいです(ざっと見た限り全体の1/4近くあったような)。さらにロッシーニ事典の(邦訳版だけか?)最大の欠点である(そもそもなかった)「参考文献」がそれなりに記載されてるところもいいです(補遺としての日本語文献表はなかったような)。
 が、1.ヒエログリフ表記やアルファベット転写もなく、英語読みをそのままカタカナ表記してるだけ 2.個々の神々については、それほど詳しいわけではない なんていう点が、ヲタ・マニア的視点からすると残念なのかもしれません。

 個人的な立場から言わせてもらいますと、やっぱりこの事典にも悪霊の類は載ってなかったorz ショタ好みのヘケケトとかいう頭痛の悪霊が唯一あっただけ……。そういえば『図説古代オリエント辞典』にも「魔物と怪獣」という項目はありましたが、固有名詞ってラビツとマシュキム、フンババだけだったような気がするし、やっぱこういうのって、世間一般から見たら充分ゲテモノ食いな古代オリエントの専門家から見ても、さらにその上をいくゲテモノってことなんでしょうかねぇ。