マルセイユの野獣

 CNNこぼれ話 2004.06.23フランス・マルセイユ──フランス南部の都市マルセイユ近郊で、今月初めから「黒ヒョウ」の目撃情報が相次ぎ、3週間にわたって警察が捜索したところ、黒ヒョウの正体はちょっと大きめの「イエネコ」だったことが、22日にわかった。[……]黒ヒョウと見間違えられていたのは、体長約60センチ、体重約10キロのイエネコだった。

 だそうです。英語で言う、いわゆるエイリアン・ビッグ・キャット(Alien big cat略してABC)の類ですね。エイリアンといっても宇宙人ではなく、「本来その土地にはいない」程度の意味ですので勘違いしないように。え、エルバッキーとかそんな(ry
 フランスの謎の巨大野獣といえば、ちょっと前にも映画化されたジェヴォーダンの野獣なんてのが有名です。これらフランスの野獣目撃談についてはジャン・ジャック・バルロワが『幻の動物たち』で詳細な分析を試みていますし、イギリス民俗学の雑誌"Folklore"1992年の号にもヴェロニク・シャンピオン=ヴァンサンという人が「フランスにおける野獣と謎の猫の出没について(Appearances of Beasts and Amystery-cats in France)」という論文を書いてます(最近見つけた)。最後の奴は色々かかれて面白そうなんですが読めないです。自分で紹介しておいてなんですが。ただ、最後のほうに1945年から1989年にかけての野獣騒動の一覧があります。だいたい55くらいの事例が紹介されていて、うち正体が判明したのが30程度、残りが"open cases"つまり「(議論が)開かれた事例」。そして、それぞれの通称が1950年代は「狼」、70年後半から「パンサー」「ピューマ」「ライオン」「リュカオン」「ビースト」となってます。つまり戦後しばらくは犬類だったのが、最後の四半世紀には猫科になってしまったとのこと。なお、正体が判明したものの多くは「狼」だとのことです。だから判明していなくても「狼」と呼ぶのは極自然な流れではあります。でも、今回のCNNの「こぼれ話」ではいちおう通称も正体もネコ科でした。

 ところで、捕獲できてないくせに何で体重が分かるんでしょう?推定?