メイキング・オヴ・ビッグフット

 X51.orgによれば、ビッグフットの中の人に取材した本が出たとのこと。
「私がビッグフットだった」- ビッグフットの中の人が激白

 このビッグフットというのは有名なパターソン・フィルムというやつです。TVでもときどき流されてるし、ブロードバンドが普及した今では動画を拾ってパソコンで簡単にみることもできますね。そのサイズ、胸にふくらみがありメスと思われること、歩きかたが人間のそれとは明らかに違う、などの理由で長らくいちばん有名なビッグフットについての証拠とされてきたものです。
 パターソンによれば身長は7フィート4インチと言いますから220cmもあります。このビッグフットは女性ということでパティーと名付けられました。

 とはいえ信じられていたのと同じ位、信じない人も多かったというのも事実(というか人類全体でみれば信じてない人のほうが多いだろう……)。例えば、パターソン・フィルムが「撮られた」のはちょうど「猿の惑星」が公開された頃で、この映画の特殊メイクでアカデミー賞をもらったジョン・チェンバースが長らくこの着ぐるみを作ったのではないか、とも言われていました。当時パターソンフィルムにあるほど本物に近いものを作れるのは彼しかいなかっただろう、と考えられていたからです。ただ、本人は否定しています。また、95年にはパターソン・フィルムにまつわる人の捏造癖とでもいうものが暴かれ、真相はやっぱり嘘っぽいというほうに傾きました。これは日本でも『トンデモ超常現象99の真相』で一般世間に広く知られる説となりました。

 それでも肯定する人たち(X.51にあるグドールのほか、大御所ローレン・コールマンなど)は最新のコンピュータによって「筋肉の動きが見える!」「こんな動きは本物以外ありえない!」など色々証拠固めをし、35年以上も喧喧囂囂な状態でした。

 このたび、一応、自称中の人が現われて素人目には決着がついた感じもする論争ですが、さっそく弁護士が反論しているように、これまでビッグフットの最大の証拠だと見なされていた物件だけあってさらに一悶着がありそうです。Amazon.comのエディターズレビューがこぞって「これぞジャーナリズム」と言っているのにたいし、カスタマーズレビューがどれも★一つであるという温度差も面白い。ついでに拮抗している「参考になった」「参考にならなかった」票も……。
 また、例え肯定側が折れたとしても、ネッシーの外科医の写真がフェイクだとばれた後もネッシーの目撃談は続き証拠写真も沢山あがっているように、これでビッグフットの物語がストレートに終了するとはとても思えません。まだまだ足跡の石膏型は多いですし、映像も多ければ目撃談も多いです。(とはいえ、映像に関してはパターソンフィルムが捏造だと認められればほとんどすべてに捏造の疑いがかかるのは免れえませんが)。それよりも、偽物だったらコンピュータ判定された筋肉の動きは何だったのかという話になるわけですけど……。

 人は見たいものだけ見る。