ジランダではなくユラン

Wikipediaジランダという項目がある。タタール語に由来する、カザンの象徴としてのドラゴンらしい。しかし綴りがZilantなのになぜか「ジランダ」と表記されている。しかも英語版を読むと、タタール語ではユランないしジュランと発音し、ロシア語に転写されてЗилант(ジラント)となり、それが英語に転写された形がZilantだ、という。となるとユランかジュランと表記するのが正確だということになるが、そもそもユランとはテュルク諸語でいう「蛇」の普通名詞である。現代トルコ語でも蛇は同じくユラン。いわばイルルヤンカシュが「蛇」を意味する普通名詞なのに固有名詞として扱われてしまっているのと同じ扱いをうけているわけだ。
百歩譲ってZilant表記を採用するにしてもジラントではなくジランダとなったのはなぜなんだろう?
探してみると、Wikipediaここで、アエロフロート航空のページにリンクがはられていて「ジランダと読む」と言われている。言っちゃ悪いが回答者はどう考えてもタタール語やロシア語についてこれっぽっちの知識もなさそうなのに回答している。まぁWikipediaでは非常に頻繁に起こることだけど。今となってはリンク先が見られないのでジランダと読む理由はわからなくなっている。とはいえ質問者も回答者もzilantとあるのにジランダという表記になるのを不思議に思わなかったのか疑問だ。どちらにせよタタール語読みでもなければロシア語読みでもないし英語読みでもないジランダとはいったい何なんだろう。
今ではアニメかなんかのキャラにまでこの誤った名称がつかわれてしまっている。

それと、「守護」というのは言い過ぎだろうと思う。ジランダに限らず、一般的に言って、何かの象徴になっているからといって象徴されているものを守護しているわけではない。