驚異と自然の秩序

バーバラ・マリア・スタフォードの『ヴィジュアル・アナロジー』を手に入れて、訳者あとがきから読んだ(私は、読書の順番としては、まず表紙→裏表紙→帯→[訳者解説]→あとがき→目次→文末脚注→索引→あとはパラパラめくって目に付いたページから読み始めるという手順になる:本の通読は一度もしたことがないのです)。訳者があの高山宏なので、もう相当ゴチャゴチャして情報量があふれ出すような文章なのだが、この本をどういう風に読めるかということを(たぶん)書いているところにこんな一文が

いな、モンスター・ハイブリッド論としても。なにしろあの理工系出版の総本山たるMITプレスが(これもスタフォード偏愛の)ローレン・ダストンにスタフォード巨大書クラスの古代・中世怪物驚異論を堂々と出させる時代なのだ。学際、楽しいっ! そして本当にMITプレスって凄いっ!
うーん、そのテンション自体すごいよ高山先生……
探してみたらどうやらこれらしい。
Lorraine Daston, Katharine Park. Wonders and the Order of Nature, 1150-1750.
『驚異と自然の秩序 1150-1750年』となるのか。表紙にあるのは多毛症の少女ですね。荒俣宏澁澤龍彦なんかの怪物論を知っているヒトにはおなじみ。

ええと、紹介文によると

『驚異と自然の秩序』は、盛期中世から啓蒙時代に至るヨーロッパの博物学者たちが、驚異(wonder)と自然世界を表象するために、驚異(群)および情熱とその対象をどのように利用したかについての研究である。怪物、闇にまたたく宝石、石化温泉(? petrifying springs)、天体現象、これらは物語を飾り立て、哲学者たちを悩ませ、蒐集家たちを釣り上げ、敬虔な信徒たちを震え上がらせた「驚異(marvel)」であった。ロレーヌ・ダストンとキャサリン・パークは美術・科学・思想・文学の歴史のうえに、いかにして驚異(群)が王権を強化し、科学的経験を織り直し、知識人の感受性を鋭敏化させたかを描き出す。これは、どのようにして驚異が自然の奥底にある秘密についての好奇心をときに燃え上がらせ、ときに弱めたか、という探求の情熱についての歴史である。「驚異」のプリズムを通して屈折させることにより、自然の秩序というものは秩序群のスペクトル、可能世界(possible worlds)へのツアーへと分解されていくのである。
よく意味がわかりませんね。とりあえず「古代・中世」じゃなくて「中世・近世」だと思います。まだ私なんかが読むには早いかな……。


ちなみに『ヴィジュアル・アナロジー』、ざっと見たところソクラテス以前からライプニッツを経てミシェル・フーコー、そして電子メディアに至る(日本の顔文字まで紹介されている!)ことが次から次へと手品のごとく出てくる内容(さらに90年代後半までの現代美術作品も多く載ってる。原著出版は99年)なので、「近代」というワクをつけない広義での欧米文化に興味のある方は(図書館で借りるなりして)一度は読んだほうがいいのでは、と思われます。